手動ポンプ式簡易神経抜き
喉から手が出るほど欲しかった「津本式血抜きポンプ」。
ある釣具屋さんのイベントで、駐車場にて実機の威力(水圧)を体験してから常に「いつかは欲しいモノランキング」の上位にありました笑。
そんな憧れの神経抜きアイテムの簡易版が、10分の1の価格で手に入るとしたら…。
馴染みの釣具屋さんで暇を潰していると、店長がニヤニヤしながら近寄ってきて…
と、差し出したのがルミカ「鉄砲ウオ」というどこかで見たことのあるアイテム。
そう、一時期100均で話題となった【園芸用 加圧式霧吹き(ペットボトル用)(類似品)】です!
なんちゃって高圧洗浄機として有名ですが、先端のノズルを改造しなければ神経抜きとして使えません。
アマゾンでもペットボトルを使用する加圧式スプレーが売られていますが、基本的には園芸用の霧吹きとなります。
鉄砲ウオとの違い
おそらく本体の形状などは、園芸用霧吹きと同じモノを流用しているのではないでしょうか?。
しかし、先端のノズル部分は専用設計のようですね。
ノズルの交換が出来れば最高なのですが、専用設計でガッチリ固定されています(パーツ転用されない為?)
作りはしっかりしているので、100均のボディではなく園芸用の霧吹きの流用だと思うのですけれど…。
という事で、専用ノズルの付いた「鉄砲ウオ」を衝動買いしてしまったのは言うまでもありませんね笑。
神経締めと熟成
まずはじめに、なぜ鉄砲ウオで神経を抜くのか…?というお話です。
魚にはATP(アデノシン三リン酸)と呼ばれるエネルギー元があり、これが死後旨味成分であるイノシン酸へと分解されます。
締めた後も消費されるATP
一般的な魚の処理(活き締め)だけだと死後硬直を遅らせる事は出来ますが、脊髄(神経)は死んだ後も活動を続ける為ATPが消費されてしまうのです。
時間をかけて熟成され旨味成分へと分解されるATPが減ってしまえば、釣ったばかりの鮮魚でもなんだか味気ない…事に繋がります。
と感じた事はありませんか?
2、3日後に旨味爆発!
ちなみに、釣りたてのお魚をその日に捌いてお刺身にすると、味が乗ってない…と思いませんか?
「みらどり」は昔から釣った当日は塩焼き、お刺身は3日後が一番美味しいと感じていましたが、その通りだったようです。
ただし、お魚を熟成させるには正しい「血抜き」と、「神経締め」をする必要があり、それを具体的に紹介したのが【究極の血抜き・津本式】 考案者の津本光弘さんです。
ご自宅や釣り場でこの血抜き・神経抜きを手軽に可能にしたのが「鉄砲ウオ」となります♪
準備するモノ
鉄砲ウオを使うには、別途ペットボトルが必要になります。
説明書には、真水・海水を8分目まで入れた500mlか1.5Lのペットボトルに取り付け、500mlなら30〜40回加圧し、1.5Lなら60〜70回ほど加圧するとあります。
また、ミネラルウォターなどのペットボトルは柔らかく強度が低いため加圧に耐えられないので破損する危険があるのでご注意下さい…とあるのでご注意下さい。
オススメは炭酸飲料の耐圧用ボトル
ペットボトルには「耐熱用ボトル」や「無菌充填用ボトル」「耐圧用ボトル」「耐熱圧用ボトル」など実に様々な種類があります。
中でも「鉄砲ウオ」で使用するのに最適なのが炭酸飲料などに使われている「耐圧用ボトル」です。
炭酸ガスの圧力に耐えられるよう全体的に丸く凹凸が無く、さらに厚さがあり硬いのが特徴です。
また、底面がペタロイド(花弁)と呼ばれる5つの半球体の突起があり、花びらのようになっているのですが、コレにより圧力が掛かっても変形し難くなっています。
よって、「鉄砲ウオ」で強力に圧力をかけても破裂せず、一般的なペットボトルのように変形し難い為圧力を掛けた後も立たせる事が出来るのです。
威力検証
では実際に安価な「鉄砲ウオ」の水流はどの程度の威力があるか検証してみます。
全自動のハピソンさんと共同開発された、「津本式血抜きポンプ」の威力を元に比較してみたいと思います。
ハピソンさんが提示した正確なデータではありませんが、上記公式HPにある説明図から推測してみましたので参考程度に読み進めて下さい。
「鉄砲ウオ」は高水圧噴霧を可能にしたトルネード水流ではありませんので、ポンプ自体の圧力を下の「トルネードなし」とすると約1.2mの高さから発射し、4m付近まで到達する事がわかります。
ノズルの直径も異なるので、正確に比べる事は出来ませんが概ね4mを基準に威力を推測してみたいと思います。
検証方法
三脚を使用し、高さ約1.2mのところから「鉄砲ウオ」を発射!
飛んでいった水跡の、手前までの距離を計測しました。
全ての計測時が無風であったわけではありませんので、参考程度にお考え下さい。
1Lペットボトル
まずは容量の小さな1Lのペットボトルにて実験です。
1Lペットボトルに約半分水を入れ、約500cm3の空気を100回加圧。
到達距離4m10cm
1Lペットボトルに約7割水を入れ、約300cm3の空気を81回加圧。
到達距離4m20cm
加圧回数は、硬くて押せなくなる所まで行ったつもりですが、水を7割入れた時の方が気合を入れて加圧しすぎたようです笑。
素人検証なのでご勘弁下さい💦。
1.5Lペットボトル
続いて1.5L容器にて検証。
ペットボトルが大きな方が威力が増すように思いますがどうでしょうか?
1.5Lペットボトルに約半分水を入れ、約750cm3の空気を152回加圧。
到達距離4m20cm
1.5Lペットボトルに約7割水を入れ、約450cm3の空気を104回加圧。
到達距離4m30cm
あまり変わりませんでしたね。
正直、加圧回数が100回を超えてくるとかなり疲れます…。
毎回カチカチになるまで押し込んでいるつもりですが、期待値が高いと限界まで加圧してるのかもしれませんけど笑。
2Lペットボトル
最後にペットボトルロケットでも飛ばすのか?!という程大きく丈夫な2L耐圧ボトルにて検証します。
2Lペットボトルに約半分水を入れ、約1000cm3の空気を194回加圧。
到達距離4m30cm
2Lペットボトルに約7割水を入れ、約600cm3の空気を132回加圧。
到達距離4m30cm
水の量が正確では無いので、空気の量と加圧回数で飛距離に誤差があるようですが、概ね4mは超えてきました。
194回加圧した時は、圧縮熱で「鉄砲ウオ」の本体がかなり熱くなったので注意が必要かもしれません💦。
製品の取説にある加圧目安は1.5Lで約60〜70回とありますので、今回の加圧回数は完全にオーバーしています。
自己責任にて行いましたが、本体からの水漏れはありませんでした。
加圧目安通りの到達距離は、概ね3m程度だった事も付け加えておきます。
ペットボトル検証の考察
水の量(ml) | 空気の量(cm3) | 加圧回数(回) | 飛距離(m) | |
---|---|---|---|---|
1Lペットボトル | 500 | 500 | 100 | 4.1 |
1Lペットボトル | 700 | 300 | 81 | 4.2 |
1.5Lペットボトル | 750 | 750 | 152 | 4.2 |
1.5Lペットボトル | 1050 | 450 | 104 | 4.2 |
2Lペットボトル | 1000 | 1000 | 194 | 4.3 |
2Lペットボトル | 1400 | 600 | 132 | 4.3 |
基本的にはペットボトルの大きさで威力が上がる事はありませんでした。
水を入れた後のペットボトル内の空気に対して、どれだけ加圧したかが問題となるようです。
カチカチになるまで頑張れば、「津本式血抜きポンプ」並の威力がある事がわかりました。
もちろん、ハピソンの血抜きポンプはトルネード水流で水圧を上げているので本家には敵いませんケド。
約10分の1の価格で、津本式神経抜きが出来るのであればコスパ最強だと思います♪
ペットボトルの大きさは持続時間に影響する
威力こそ違いはありませんが、大きなペットボトルを加圧する利点は、水量と水圧の持続時間に影響します。
1Lのペットボトルに7割の水を入れて加圧し、発射ボタンを押し続けると4mから3mに圧力が落ちる時間は約36秒でした。
同様に1Lのペットボトルに半分水を入れて加圧し、発射ボタンを押し続けると4mから3mに圧力が落ちる時間は約64秒と伸びました。
つまり、圧力を掛ける空気の量が多いほうが持続時間が伸びるので、使い勝手は良くなります。
それでも、1分で威力が落ちる事を考えたら、自動で維持してくれる津本式血抜きポンプの良さが光りますね♪
使い方の注意点
手動による加圧なので、強めに加圧しすぎても本体の破損には繋がらないと思いますが、使用上の注意に「過剰圧力をかけるとペットボトルが破損する危険があります」とあります。
ペットボトルロケットにも使用される「耐圧ボトル」であれば問題無いように思いますが、威力を上げたい時は自己責任にてお願い致します。
また、検証中に一度だけ加圧した空気が破裂しました!!
それは、減圧せずに本体をペットボトルから一気に外そうとした瞬間…
という強烈な破裂音と共に、一瞬視界が真っ白になりました。
本体をペットボトルから取り外す際は、ゆっくりと空気を抜きながら回し、ペットボトルを手で押して凹むようになってから一気に取り外せば安心です♪
対象魚
実際に魚の血抜きや神経抜きをする際には、対象魚の大きさに合わせて通常のルミカ 神経締めワイヤーと併用(あらかじめ神経締めワイヤーで破壊しておく)する必要があるのでご注意下さい。
また、小アジ・小サバ等、サイズの小さい魚は神経穴や血管にノズルが入らず、上手く神経抜き・血抜きが出来ない可能性が有るそうです。
「鉄砲ウオ」で血抜き・神経締めが出来るサイズは、中型青物・マダイ・シーバス・大型根魚 などと記載があります。
全長60cmまでの魚であれば、エラと尾をカットした時の神経や血管の長さが50cm以下になるので、しっかりと血抜き・神経抜き出来るようなのでご参考まで。
津本式を手軽に体験!コスパ最強「鉄砲ウオ」
ちょっと高額なルアー1個分で購入出来るルミカ「鉄砲ウオ」。
釣りたてホヤホヤの新鮮なお魚をお刺身にするのに、旨味成分イノシン酸を無駄に失う事なく究極の味わいたくなったら…ぜひ一度お試し下さいませ♬
最後までお付き合い頂き、誠にありがとうございます♬
(:D)┓ペコリンチョ
追記:鉄砲ウオと津本式を比較
日本イワナセンターに行った際、友人の津本式をお借りして鉄砲ウオと使い比べてみました♪
結論から言うと、鉄砲ウオは圧力不足…。
津本式は音がうるさい笑。
2種類の神経抜きで処理したニジマスを食べ比べてみましたが、バカ舌の「みらどり」にはわかりませんでした💦。
ソレより釣り場で捌いた魚を、
…方が鮮度が保てるように感じました!
詳しくはこちらの記事にてご確認下さい👇
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