過ぎたるは猶及ばざるが如し
ミニトマト栽培で一番気をつけなければならないのはズバリ
…です。
もともとトマトの生まれ故郷である原産地は、南米ペルー「アンデス山脈の高原地帯」と言われています。
水分や肥料分が少なく、乾燥した環境から貴重な養水分を吸い上げる為、給肥力が強いのでしょう。
雨の多い日本の梅雨時期は、無駄に養水分を吸収しぶくぶくに肥満状態になってしまうと言えます。
トマトはスパルタがベスト
そのため、できるだけ養水分を抑え乾燥気味に育てるのが良いとされています。
特に窒素成分の必要量は少ない野菜なので、3大栄養である窒素・リン酸・カリウムの窒素の割合を相対的に抑える事が重要。
市販の培養土は概ねすくすく大きく育つよう肥料成分(特に窒素)は濃いめが主流。
そのため、窒素少なめがベストな「ミニトマト🍅」を育てると概ね窒素過多から病害虫に狙われるのです。
まさに、
…ですね!
※参考までに【肥料の裏側】はコチラ👇
ちきちき なんだなんだ\(*°∀°*)/!まるで呪文のようなこのタイトルは笑。なんか悪いものでも食べたのか「みらどり」?! みらどり あいかわらず適切なツッコミありがとう(´>∀<`)ゝ。肥料、過肥、無肥、少肥、適[…]
栄養成長と生殖成長
もともとトマトは、茎・葉を茂らせる栄養成長と、花・実をつける生殖成長を繰り返して成長していきます。
窒素が多いと栄養成長が優先され、子孫を残す生殖成長である花や実を付ける事をやめてしまいます。
この2つのバランスを保つ事が重要なのですが、ミニトマト自体がかなり吸肥力が強いため過剰に窒素を吸い上げて栄養成長に偏りやすいので特に注意が必要なのです。
特にトマトは窒素の1.7倍のカリ成分が必要とされており、通常の窒素・リン酸・カリウムが8-8-8などのように同じ割合で入っている肥料だとカリウム欠損症にもなりやすくなります。
後述の対策に記載した、専用培養土や専用の肥料を使う事がミニトマト栽培を成功させる秘訣となります♪
チッソ・リン酸・カリウムの役割
ちなみに、植物の3大要素とされるチッソ・リン酸・カリウムの役割は次のようになります。
つまりチッソ・リン酸・カリウムは、葉(ば)・花・果(か)・根(ね)に関係してくるのです。
植物の種類によってそれぞれの要求量が異なるのですが、ミニトマトに限って言うと4-3.8-9.4が理想だとされています(ハイポニカ液肥より)。
窒素過多の症状
それでは最初にミニトマトの窒素過多の症状から見ていきましょう。
症状別画像はミニトマトの品種が異なると、ピタリと当てはまらないモノもあるかもしれませんが、参考程度に見てくださると幸いです♪
1つでも当てはまった場合、早めの対処で復活するかもしれません。
気になる症状があれば、後述の原因と対処法をご確認下さい!
葉の色が濃い
ミニトマトの品種によって葉の色は若干異なりますが、葉っぱがどす黒い濃い緑色だと注意が必要。
また写真の右側の葉っぱのように、切れ込みが深くなったり奇形葉が現れたら間違いなく窒素過多です。
この段階ならまだ軽い症状なので、水やりを控える程度で葉色が良くなる事もあります。
葉が巻く
写真のように葉がくるりとカールすると、かなり症状が進んでいる証拠。
日中はまっすぐでも、夕方になると少し巻き込むことはありますが、朝になってもカールが戻らない場合は窒素過多であることが考えられます。
こうなると、太陽の光を浴びて効率よく光合成ができなくなるので病害虫の温床になるだけでなく生育も鈍化します。
葉っぱより下に実が付いていなければ、葉を落としてしまった方が風通しも良くなり病気も防げるのでカットしてしまいましょう。
茎が太い
理想は茎元から成長点まで均一な太さで、割り箸より少し太いくらいの1〜1.2cmが正常です。
これより太いと窒素過多。
右側の写真の茎は…
…です💦。
ここまで太いと修正は難しいですが、これより上の茎を細くする事は可能です。
ただし、概ね成長点が止まる「芯止まり」の症状が出るので、ここからの完全復活は期待出来ません…。
今ある実を大切に育みましょう♪
茎が割れる(異常茎・メガネ)
異常茎(通称メガネ)と呼ばれる症状です。
極太の茎になったあと、さらに窒素が効いてしまうとこの異常茎が見られるでしょう💦。
窒素過多の末期症状なのか、「みらどり」はこの後うまく成長した試しがありません。
ガチガチに窒素成分が多く、長雨で吸収を止められないとこうなります…。
成長点が小さく芯止まりする
成長点が右の写真のように小さくまとまってくると、この部分からの成長は止まります。
芯止まりという症状で、先端が先細り成長点が枯死したりする事も…。
まだ背が低くても、とりあえず成長点をカットして下の脇芽の発生を待ってそれを新しい主枝とすると助かる事もあります。
ただしこのような症状の出た窒素過多の株は病害虫にやられやすくなる為、下葉・古葉の処理(カット)やリン・カリ液肥の追肥など手間がかかるのは間違いありません。
ダメ元で、後述の対処法を試してみて下さい。
果房・花房から葉が伸びる
果房の若返りと呼ばれる症状です。
写真の花房は葉が分岐しているだけですが、果房の先端から成長点が発生する場合もあります。
葉を落とせば果実は実る可能性もありますが、窒素過多の症状なので後述の花・実が落ちる確率が高いようです。
花・実が落ちる
1、2個の花が落ちることはよく目にしますが、写真のようにほぼ実が付かない症状は確実に窒素過剰からくる症状。
かろうじて付いている花を落としてしまうとさらに栄養成長に傾くので、1粒でも花が付いていたらトマトトーンなどのホルモン剤で実を付けさせ生殖成長に仕向けるのも一つの手立て。
せっかく実が付いてもポロポロと落ちてしまうのはとても悲しいですが、ミニトマト自身が
…と、花を落としているので致し方ありません。
窒素過多の原因
ミニトマトにおける窒素過多の原因には次のようなモノがあげられます。
- 元肥(もとごえ)が多い
- 肥料成分のバランスが悪い
- 水やりが多い(長雨注意)
- ミニトマトの品種により吸肥力が異なる
肥料を多く与える事が主な原因ですが、窒素過剰と言うように「窒素成分」の比率が重要になります。
露地栽培に比べ、用土量の少ないプランター栽培の場合は特に注意が必要で、肥料のバランスが崩れやすく、過肥料からの肥料切れにも注意が必要です。
元肥(もとごえ)が多い
市販の培養土には、最初から数ヶ月分の肥料成分が入っているモノがあります。
次回もリピート購入してもらえるよう、元肥が強めに効いている商品が多いように感じます。
育ちが悪いより、肥料を強くして定植初期からすくすく大きく育つ方が消費者のウケが良いためだと思います。
元肥入の培養土から窒素成分を抜くのは難しいので、極力肥料成分の少ない培養土を選ぶようにすると良いでしょう。
その場合、後述のトマト専用の肥料を元肥として混ぜ込む必要がありますが、その際も裏書きにある規定量より少なめに混ぜ、追肥で調整するのがベスト!
一度ブレンドした土から肥料を抜くのは困難ですが、成長の度合いを見て追肥するのは簡単にできるからです♫
肥料成分のバランスが悪い
水やりが多い(長雨注意)
固形肥料を使用した場合、水やり=肥料成分が効くという図式が成り立ちます。
通常は根が伸長すると共に、根の先端数ミリの肥料成分を少しずつ吸収しますが、水に溶けた肥料分が根の先端に流れてきても同様に吸い上げます。
あまり水やりが多いと加湿により根が傷む(根が酸欠で腐る)事もありますし、なにより窒素過多の症状が出やすいので注意が必要です。
乾燥気味に育てるミニトマトを露地栽培・ハウス栽培している場合は、水やりはほとんど行わず、成長点がしゅんとしたら少量与える程度だと農家さんに聞いた事があります。
プランターでは毎日あげないと土が過乾燥してしまい水を弾くようになるので水やりは頻繁に行いますが、土の絶対量が少ないので1日1回程度の水やりは問題ありません。
ただし連日雨が続くと肥料を吸収しすぎてしまうので、雨除けの必要が出てくるので注意が必要です。
ミニトマトの品種により吸肥力が異なる
毎年色々な品種のミニトマトを栽培していると、同じ培養土(肥料成分)なのに明らかに吸肥力の強い種類があります。
環境がまったく同じでも、その品種に適した栽培温度や肥料の量があるのはなんとなく分かるのですが、苗の状態だとソレは分からない事がほとんどです。
こればかりは育ててみないと分からないので、基本的には元肥を少なめにし追肥で調整するのがベスト。
毎年決まった品種を育てれば解決しますが、本職の農家では無いので失敗もまた経験♫
…をおすすめ致します!
窒素過多(肥満体質)のデメリット
窒素過多になると一見すくすくと大きく成長しているように感じますが、実は様々なデメリットが生じます。
人間に例えると、肥満が生活習慣病の根源(糖尿病・高血圧症・脂質異常症(高脂血症)・高尿酸血症・動脈硬化症)と言われるように、ミニトマトにとっても健康な成長を阻害する要因となるのです。
何故なら、病害虫も窒素(栄養)成分が大好きだからです…。
使い切れない栄養分があると、虫から見たらさぞ美味しく見えるのでしょう?!
この事はミニトマトに限らず野菜全般に言える事ですが、特にミニトマトの場合は顕著にその兆候が現れるので注意が必要です。
病害虫に狙われやすくなる
ミニトマトの病気には萎凋病、葉かび病、モザイク病、黄化葉巻病、疫病などがありますが、これらのウィルスはアブラムシやコナジラミを介して感染します。
また、カビなども養水分が好きなので窒素過多は病気にかかりやすくなります。
害虫もまた窒素成分が好きなモノも多く、ハダニ、アブラムシ、コナジラミ、オオタバゴカ、ネコブセンチュウがわらわら集まってきます…。
同じ環境で育てているのに、不思議とバランスよく健康に育っているミニトマトには病害虫がつかないが、明らかな窒素過多の株にはハダニがびっしり…という経験を何度もしています。
もちろん、農薬(防除・殺虫)をガッチリ散布すれば肥料過多でも安心ですが…趣味の家庭菜園ですからソレは最後の手段にとっておきたいですよね💦。
収穫量が落ちる
窒素が多いと、実をつけて子孫を残す事を後回しにします。
花や実を自分で落とし、光合成で得たエネルギーを全て茎・葉にまわし草勢を強くします。
その結果、葉の枚数ばかり多くて実の収量がわずか…という悲しい結末に陥ります。
1株から取れる収量を最大限増やすには、栄養成長と生殖成長のバランスを取ることが必要となり、そのために葉を落としたり、脇芽を取ったり日々の観察が重要となります♫
ミニトマトの味が落ちる
これは「みらどり」の感想ですが、窒素過多になり3段果房で芯止まりしたミニトマトから取れる果実は、
…と感じます。
実は小さく、味が凝縮していそうですが食べるとイマイチ…。
以前なにかのTV番組で聞いた話ですが、
…とおっしゃっておりました。
逆に、今いる環境の養水分が十分だと、その場所でまた繁殖した方が有利なので実に栄養を回さないのだと思います。
真実はミニトマトのみぞ知る所ではありますが、いかがでしょうか?
窒素過剰の対処法
最後に、不幸にも窒素過多の症状があてはまった方のためにできる限りの応急処置をご紹介して締めくくりたいと思います。
6月中なら新しい苗を購入して再スタートした方が良い場合もありますが、症状が軽い場合はまだ間に合うかもしれません。
- 脇芽を伸ばす
- 水やりを控える
- 追肥を控える
- 窒素ゼロのリン酸・カリウム液肥を与える
- 脇芽からクローンを作る
1~3番は、応急処置です。目に見える効果や即効性は期待出来ませんが、すぐに対処可能な簡単な方法。
4番は物理的な効果が期待できるおすすめの方法です。
窒素ゼロのトマト元気液肥のカリウムが窒素の過剰吸収を抑制し、実を作るリン酸がトマトを美味しく仕上げます♪
5番は最終手段ですが、新たな苗から育てるので間違いなく窒素過剰をやり直せます。
日々の状況を観察しながら、ぜひとも再生チャレンジをしてみて下さい!
脇芽を伸ばす
基本的に窒素過多になると、成長点はそれ以上伸びず芯止まりします。
全ての脇芽を伸ばして、今ある窒素成分を使い切りるのが1つ目の方法。
ただし、脇芽が成長しすぎて樹勢が強くなる前に1本だけ残してあとはカットします。
残した一本を新たな主枝として伸ばしていくと良いでしょう。
水やりを控える
トマトは多少の乾燥状態なら耐えられる強い子です🍅💦。
プランター栽培の場合、一度土が過剰に乾燥してしまうと水を弾くようになるので注意が必要ですが、天気の良い日に限界まで水やりを控える方法もあります。
最初に水不足の症状が現れるのは成長点ですから、先端が
…となるまで控えてみましょう。
乾燥すると、根は水を求めて伸長し少ない養水分でも効率的に利用する事ができるようになります。
窒素過多の症状がなくても、スパルタ気味に育てるとミニトマトは健康に成長します♫
追肥を控える
株の成長が止まり、原因が分からないとつい肥料を与えてしまいがちですが、追肥をすると逆効果。
前述の窒素過多の症状が現れている場合、窒素の入った肥料は完全に止めてしまいましょう。
2週間に1回追肥を与えるなら、2週飛ばしても大丈夫。
1ヶ月に1回与える肥料の場合は、2週間程度様子を見てから追肥しましょう。
ただし、窒素成分が多い肥料を追肥すれば同じ症状になるのは明らかなので、極力ミニトマト専用の肥料に変えた方が良いでしょう♪
ポイントは、窒素の量が少ないモノ。
ミニトマトの理想は窒素1に対してカリウムは1.7倍必要なので、ハイポニカ液体肥料がベストです。
液肥は希釈が面倒ですが、ハイポニカは
もともと土を使わない水耕栽培用の液肥なので、土に栄養がゼロでもすくすく育ちます♪
希釈するのは面倒ですが、美味しいミニトマトを育ててみたいならぜひ一度使ってみる事をおすすめ致します!
窒素ゼロのリン酸・カリウム液肥を与える
すでにミニトマトを育てている用土から窒素を抜くのは不可能なので、窒素ゼロのトマト元気液肥を与える事が最大の対処法です!
液肥に含まれている豊富なカリ成分が均抗作用により窒素の過剰吸収を抑制し、過繁茂防止が期待できます。
ついでに、実を作るリン酸成分とアミノ酸配合で食味の向上も期待できる美味しいミニトマト作り必須アイテムです♫
1〜3番までをやった上で、最後にトマト元気液肥を追肥すればもう安心。
味にこだわるプロの農家さんも愛用しているチッソゼロの液肥。
使用感などは👇コチラの「みらどり体験記」からご確認下さいませ♫
脇芽からクローンを作る
ここまでやっても駄目だった場合…その株はもう諦めましょう💦。
6月〜7月中旬であればミニトマトの脇芽を掻き取り茎を水に浸し、完全なクローンで苗を作って再スタートするのも可能です。
保湿性の高い用土であれば、掻き取った脇芽をそのまま土に刺して日陰で4、5日置いておけば茎から根が出てクローン苗が完成します。
失敗が少ないのは、一度水に挿して発根した後に土に定植する方法。
どちらの方法でも、一代限りのF1苗※から親とまったく同じ完全なクローンが作れます。
少々お高いブランド苗を購入した場合、予め予備のクローンを作っておけば親が失敗した時にすぐに再スタートがきれるのでオススメです♫
元肥をミニトマト専用のチッソの少ないモノにして最初からやり直しましょう!
※F1についての記事はコチラをご参照下さい👇
みらどり スーパーで購入した野菜の種を蒔いてもうまく育たなかったり、同品質の実が収穫出来るとは限らないというのはご存知でしょうか?ホームセンターで購入した苗から取れた種でも、同じ事が言えるのは意外と知られていないと思います。[…]
ミニトマトが窒素過剰になる原因と対処方【まとめ】
ミニトマト
大切なのは
ばかねの根※
みらぞう心の俳句
※ば(葉=チッソ)・か(花・果=リン酸)・ね(根=カリウム)
栄養成長(茎・葉を茂らせる)と生殖成長(花・実を付ける)を繰り返して成長を続けるミニトマト。
そのバランスが窒素過多で崩れると、成長が止まるだけでなく病害虫にも狙われやすくなります。
できれば窒素成分の少ないトマト専用の培養土や、トマト専用の肥料をお使いいただくことをおすすめ致します♪
万が一、長雨などの不可抗力で窒素過多の症状が出てしまった場合は、早急に「トマト元気液肥」で窒素の過剰吸収を抑制しましょう!
甘くて美味しいミニトマトを収穫するには、窒素と水を控えた少肥栽培が最適です。
家庭菜園でしか味わえない、樹上で完熟させた極上のミニトマト🍅作りにチャレンジしてみてはいかがでしょうか?
最後までお付き合いいただきありがとうございました!
(:D)┓ペコリンチョ