日本の工業製品の品質は、世界に誇れるクオリティがあると思っていたので信じられません。
釣り具業界の悪しき慣習なのかもしれませんが、海外の釣り糸の太さはもっとデタラメなので安心してください?!
日本では、釣り糸の太さと強度の関係は、ちゃんと関連付けられるように併記されています。
しかし、海外の糸はそもそも強度表示が主流で、太さとの併記が無いため「何キロで破断するのか?」が重視され、標準直径は関係ないのでデタラメです。
そのあたりは、日本人の「細やかなこだわり」。日本品質で良いのですが、あくまで目安で実際は意外といいかげんだったりもします。
日本の釣り糸の太さと強度の基準
一般社団法人日本釣用品工業会が定めたナイロン糸・フロロカーボン糸・ポリエステル糸の号数・強度・標準直径表では、
1号の標準直径が0.165mmで4LB(ポンド)「1ポンド453.592g」という基準があります。
しかし、リールの糸巻き表示が、ナイロンとフロロカーボンで異なる事に違和感を覚えたことはありませんか?
シマノ C2000S | ナイロン 1号 100m | フロロ 1号 85m | PEライン 1号 80m |
同じ1号0.165mmの糸で、糸巻き量が異なるのは単純にリールメーカーも太さが異なる事を認めている事になりませんか?
また、1号という表記でも、PEラインはまた別の基準となる事も不思議に思って調べてみました。
同じ1号という表記でも、PEラインは標準直径0.171mmで20LB(ポンド)だそうです…。
当然、リールに巻ける糸の量は一番少なくなります。同じ1号なのにです。強度に関しては原料が異なるので違いがあるのは納得できます。
しかし、釣り糸の太さの基準はどうなっているのでしょうか?工業製品なので公差は認められていますが、この件はそれ以前の問題です。
釣り糸の太さはデタラメ?と暗示させるメーカーもある
ちなみに、上記の問題は日本釣用品工業会の定めた釣糸JAFS基準を遵守する糸メーカーの話ですが、それに加盟していないメーカーはどうでしょうか?
と言わんがために釣糸JAFS基準に従わないメーカーもあるでしょう。
「強い」けれど「太い」のであれば、コストをかけずとも簡単に作れます。
「みらどり」が釣りを始めた30年前から「安価でとても強い糸」が存在していました。
当然子供の頃は「安価で強い糸」で釣りをしていましたが、大人になって「高い釣り糸」を購入するようになると「高いのに弱い」事に気が付きます。
その当時は理由が分からず、高い糸は弱い…と漠然とした疑問を感じていました。
しかし、どうしても納得がいかなかったので、大人になってマイクロメーターを購入し、同じ1号表記の糸を計測してみました。
すると、同じ1号表記の釣り糸でも「高価で弱い」糸に比べ「安価で強い」釣り糸の方が約30%も太い事が判明しました。
また、安価なフロロカーボンハリスの6号が、ハリス3~6号用の回転ビーズに通らない事もありました。
この時は、回転ビーズを疑いましたが、シーガーのハリス6号は普通に通りました。
太ければ強いのは当たり前です。同じ太さで勝負した場合、糸の均一性の高い「高価な糸」が強い事が分かると思います。
信頼できるおすすめの釣り糸メーカー
どんな釣りにおいても、釣り糸は「細くて強いのが正義」と考える「みらどり」にとって、強くて太いのは悪です。
釣り糸メーカーは、釣り糸の太さと参考強度の表記はしますが、釣り人にこの釣り糸は「弱い」と体感されないように太目に製造するのでしょう。
参考までに、一般社団法人日本釣用品工業会の定める釣糸JAFS基準を遵守する「みらどり」が信頼する糸メーカーを掲載しておきます。
- クレハ合繊株式会社
- 東レ・モノフィラメント株式会社※
- 山豊テグス株式会社
- 株式会社ワイ・ジー・ケー(よつあみ)
- 株式会社ゴーセン※
- 株式会社サンライン※
- 株式会社シマノ※
- 株式会社モーリス※
- ユニチカ株式会社※
※のあるメーカーの一部の釣り糸は除かれます。
これ以外の釣り糸メーカーさんは・・・諸事情で公差の範囲内で太めの釣り糸を製造していると「みらどり」は考えています。
高い釣り糸が良い糸か?太さと強度の関係性
モノフィラメントの釣り糸は、原料となる樹脂ペレットを溶かし、ノズルから押し出されるようにして製造されています。
時間当たりの押し出すスピードを速めれば、糸の均一性はなくなり、細い部分と太い部分がうまれます。例えると髪の毛のように縮れやすい(よれやすい)糸が出来上がります。
当然、細い所で破断してしまうので、釣り糸の太さを細い所+αで設定します。こうして「安くて太い糸」が完成します。
逆に、製造コストの高い釣り糸は、時間当たりの生産性を落とし、時間を掛けて押し出します。
また、加熱と延伸を何度も繰り返すことで糸の均一性を保ち、その後のコーティングや着色などの2次加工にも時間とコストを費やします。
こうして出来上がった釣り糸の太さと強度は、価格に見合った高品質の強い釣り糸に仕上がります。
50mで600円の釣り糸もあれば、50mで2000円の釣り糸もあります。場合によっては、明らかに600円の糸の方が強い事があります。
しかし、安価な糸は太いので、同じ太さで換算すれば確実に高い釣り糸の方が強いのは明らかです。
釣り糸の太さは「細い」事が正義である!
「細い糸は釣れる!」と確信している釣り名人のあなたにとって、この真実をどう考えるかの問題です。
「みらどり」が実測した高価な釣り糸の太さは1号が0.167mm、安価な釣り糸の太さは1号が0.216mm(約1.5号以上相当)でした。
この約100分の5mmの違いが魚に見えているのか?と問われれば、「まず見えていないでしょう」と答えます。
しかし、その先の針に付いたエサの動きには確実に影響を与えると断言出来ます。
そして、そのわずかな糸の太さの違いによって「釣果に差が出る事」は、釣りをしているあなたなら理解できるのではないでしょうか?
釣り糸の太さによる釣果の差を実感
細い糸で釣りをするジャンルでは、理屈では理解できないような釣り糸の太さの違いでも、明らかに釣果に表れてきます。
ヘラブナ釣りのハリスの太さは0.3号(0.090mm)、0.4号(0.104mm)、0.6号(0.128mm)と使い分けます。
「みらどり」はおおざっぱなので、0.3号と0.4号の違いはあまり実感した事はありません。
しかし、0.3号と0.6号のわずか100分の4mmの違いは、明確な喰いの違いを体験した事は何度もあります。
また、アユの友釣りの実釣経験で、フロロカーボンの0.2号(0.074mm)と0.3号(0.090mm)での鮎の泳ぎの違いは、流れが強くなれば明確に表れてきます。
わずか30cmしか水中に糸が入っていない場合でも、鮎の泳ぎ具合に違いが現れるのです。
さらにルアーフィッシングでは、釣り糸の太さの違いによる喰いの差はそれほど無いのかもしれませんが、1号違うだけで飛距離には影響してきます。
釣り糸の太さを細くすれば、同じルアーの飛距離が数メートル変わります。1日に800回キャストすればルアーの巻き上げ距離に差が出る為、魚に出会う確率も上がります。
唯一釣り糸の太さに関係の無い釣りジャンルは「大物釣り」の世界です。少しくらい糸を細くしても、ベイトの群れを追いかけまわし、コマセに突っ込んでくる大型魚に対して違いは感じられないでしょう。
ある意味漁師さんも、太さよりコストを優先する為、高品質の釣り糸は必要としないでしょう。
ただし、大物釣りにおいては「糸の太さ」より実強度が優先される。
PEラインの釣り糸の太さはさらに無法地帯
ここまでは、ナイロン・フロロカーボン・エステルなどのモノフィラメントの釣り糸の太さについてお話しました。
前述の一般社団法人日本釣用品工業会が定めた釣糸JAFS基準には、PEラインについての記載もあります。
モノフィラメントの糸に関しては、マイクロメーターでおおよその標準直径を測る事が出来ますが、より糸(組糸)のPEラインに関してはこれでは測れません。
それを良い事に、従来のPEラインはかなりデタラメな号数表記を採用してきました。
20年前は、日本製のPEラインですら、6号300m巻きの電動リールに5号300mが入らない事もありました。
特に酷いのは、元々強度表示が主流の海外製の安価なPEラインです。参考号数を目安にリールに糸を巻くと、標準糸巻き量がまったく入らず困った事が何度もありました。
さらに、PEラインを編まずにコーティングしてあるだけのPEラインもあり、その断面は明らかに扁平。
これでは、標準直径どころか円でもない為、釣りにおいては潮に流されるは、風の抵抗をダイレクトに受けるは、とても使える代物ではありませんでした。
唯一このPEラインの良い所は、糸が太く、コーティングも厚い為、日本のPEラインの数倍も強いのではないか?と錯覚させる安心の強度だけでした。
標準直径を計測出来ないPEラインの太さ
それでは、どんな指標をもってPEラインの太さの基準を決めるのか?一般社団法人日本釣用品工業会の基準を参考にすると、
- PE100%糸で、コーティング・顔料を含むトータルデニールを基準とする。
- PE糸の太さの標準規格は、単位のデニール(d)表示を使用し、1号=200dとする。
- PE糸の許容範囲は、上限・下限のデニールが、前後の号柄の標準値を追い越さないものとする。
- d(デニール)とは、長さ9000m当たりの質量をグラム単位をもって表したものである(200d=200g)
となり、1号のPEラインの9000m当たりの重さが200g前後であると定めています。
「高密度に編み込んだので、従来のPEより同じ号数で30%も強い!」という糸メーカーに対して「高密度に編み込んだから細くて強い」という理論値ではなく、「重いから太い、太いから強いのではないか?」という検証が可能です。
前述の釣糸JAFS基準を遵守する「みらどり」が信頼する糸メーカーの中で、PEラインに関しては「株式会社ワイ・ジー・ケー(よつあみ)」一択です。
もちろん、その他の糸メーカーがダメなわけではありませんが、一部除外の商品もある為、購入する際しっかり確認する必要があります。
特にネットで出回っている「安価なPEライン」は粗悪なモノが多いので十分注意してください。
ストッキング・タイツのデニール表記
ちなみに、男性にとっては「デニール」とは聞き慣れない言葉ですが、女性には馴染みのある単位だと思います。
そう、ストッキングやタイツの厚さをイメージするのがデニールですよね。
実際には長さ9000m当たりの質量をグラム単位をもって表したものなので、PEラインの太さのイメージはつきにくいですが20デニールのストッキングがPE0.1号相当なので、もうスケスケです♪
タイツの40デニール~60デニール(PE0.2〜0.3号)は、ほどよく透け感があり、一番美脚に細く見える濃さと言われていますのでオススメです(なんのこっちゃ笑)!
強度表示は未だに闇
ようやく太さについての基準が制定されたPEラインですが、各社の公表する強度表示については未だに言ったもん勝ちの状況が続いております。
その理由には、釣糸JAFS基準の中に
とあるからです。
各社の測定方法もバラバラ。
さらに、何度強度検査し、そのうちのどの強度を採用したかも謎です。
つまり、1000回計測して1度だけ出たピークパワーをMAX表示とするか、上位10%の平均値をMAX表示するかの決まりもありません。
良心的なメーカーはAVE表示を採用していますが、消費者は「安くて強い糸」を選ぶことが多く市場競争力に欠けいずれ消えていきいます。
もう少し業界全体がオープンになる事を願わずにはいられません…。
本当の最強PEラインをお探しのあなたはこちらの記事をご参照下さい👇
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みらどり 釣り歴30年...過去に数多くの「PEライン」で失敗をしてきた「みらどり」です。その経験を元に、出来れば避けたいPEラインの特徴と、おすすめのコスパ最強PEをご紹介致します♪ わんだまん (´ー`*)ウンウン、まさに[…]
釣り糸の太さについての裏話【まとめ】
この記事に書かれている具体的な釣り糸メーカーは、あえて今回は伏せさせていただきました。
ただし、一般社団法人日本釣用品工業会の定める釣糸JAFS基準を遵守する安心の優良糸メーカーは記載してありますので、釣り糸を選ぶ際の参考にして下さい。
- 釣り糸の太さは細い方が有利である事が多い。
- 釣り糸メーカーの号数表記は参考程度に考える。
- 高価な糸は安価な糸と比べて細い。
- 安価な糸の方が強い事があるが、原因は太い事に起因する。
- 釣り糸を選ぶ時は、釣糸JAFS基準遵守企業が安心。
魚と人を繋ぐ大切な釣り糸の太さについての裏話。釣り糸の太さの実測と、実釣体験で感じた釣果の差についての雑談が、あなたのフィッシングライフのお役に立てれば幸いです。