「命」を頂いて生きているという事を大切に考えているからです。
「大食い」して、無駄に他の生命を傷つけるのは僕も嫌いです…。
「おーい、ちょっとメスシリンダーもってきてーー」
なんてね。
植物にとって大事なモノは細胞壁に守られている
草食動物は、消化器官に消化酵素を持ち、胃や腸に共生微生物を宿し植物の食物繊維(セルロース)を分解してもらいブドウ糖として吸収しています。
人間にはそれらは存在しないため、野菜・果物・きのこ・海藻などの細胞壁の中にある「ビタミン・ミネラル・ポリフェノール・リコピン」などの有効成分は、よく噛んでもほとんど摂取されずに排泄されてしまします。
そこで、一般に言われている栄養吸収効率を上げる調理法が存在します。
一般的なのは、トマトジュースなどの加工食品に見られる「加熱」と「粉砕」による細胞壁の破壊です。生食より4倍もリコピンを摂取出来るそうです。
また、ブロッコリーやきのこなどでも「冷凍」することにより細胞壁内の水分の膨張を利用して細胞壁を破壊し、栄養価や旨味を上げる方法が知られています。
レモンを絞る際に、電子レンジで30秒(60度)ほど加熱するとマイクロ波が細胞壁内の水分を直接温め、膨張する事により皮が柔らかくなり絞りやすくする事にも利用されています。
そこで、どの方法が一番効率よく細胞壁をぶっ壊せるかをミニトマトで実験してみました。
エビデンスになるほどの実験回数を行ってはいませんので、モノ好きのお遊び程度に読み進めて頂くと幸いです。
実験方法は絞れた水分量と糖度にて検証
細胞壁が壊れると細胞壁内の水分が流出し、植物体に張りや弾力がなくな理ドリップが出る。
それを元に、効率よく細胞壁が壊れているのを、搾り取れた水分量と糖度で検証してみたいと思います。
- 瑞々しい採れたれミニトマト
- 一度冷凍したミニトマト
- 採れたてを電子レンジで60度まで加熱したミニトマト
- 冷凍して電子レンジで60度まで加熱したミニトマト
以上の4パターンで検証していきます。収穫したミニトマトの株と房は全て同じ箇所を使用しました。
ミニトマトの実の大きさ(重さ)に差がありますので、糖度比較は参考程度にお考え下さい。
①ミニトマトは朝採りが一番美味しい!瑞々しい採れたてで絞る
まずは表題の実験道具で、採れたて新鮮!生のミニトマトを絞ってみました。
重さは15.14gで、プリップリの瑞々しい張りと弾力があります。
メスシリンダーに、ガラスフロートを挿し込んで茶こしを載せ、にんにく絞り器で最奥までネジを回し、ミニトマトの汁を搾り出す自作の実験セットです。
結果は6.1mlでした。完璧に水分が絞れたわけではありませんが、ネジを回して絞る際にはとても抵抗があり、絞り残し感がありました。
15.14gで6.1mlなので、おおよそ40%の水分を絞れた事になります。
糖度は7.3でした。梅雨時期の本調子ではないミニトマトにしては、がんばっていると思います。
②冷凍したミニトマトを自然解凍して絞る
収穫してから1日ほど冷凍した後に自然解凍したミニトマトです。
重さは13.87gでした。実はブヨブヨで張りはなく、そのまま食べても食感の悪い不味そうなミニトマト。
冷凍のまま口に入れれば、アイスのようで甘さはあまり感じなくなりますが、子供は好きで食べています。
絞ってみると、結果は7.2mlでした。絞り具合はグチュグチュで、ほぼ抵抗なくサラサラと絞りきれました。
13.87gで7.2mlですから、おおよそ52%の水分を絞れた事になります。
生搾りより、冷凍絞りの方が12%も多く水分が出たことになります。細胞壁内の水分が出た、と考えて良いのではないでしょうか?
糖度は8.8でした!上記の生搾りと同じ株の同じ2段果房から収穫したのですが、大きさの違いでここまで糖度に差が出るのは驚きです。
細胞壁が壊れると、糖度が上がるのかは分かりませんが、きのこのように旨味が増すモノもあるので、生食より冷凍…が正解なのでしょうか?
③採れたてをそのまま電子レンジで60度まで加熱して絞る
今度は、採れたてミニトマトを電子レンジで60度まで加熱してみます。
重さは15.59gでした。
はい、電子レンジの中で盛大に爆発しました…。
ラップを掛けてありますが、かなり器に飛び散っています。
加熱して出たミニトマト汁を計ると、1.4mlありました。
残りの果実を絞って足すと、6.5mlでした。冷凍ほどではありませんが、絞り具合はゆるい感じ。
15.59gで6.5mlですので、41%の水分を絞れた事になります。思ったほど水分が出ませんでした。
しかし、その汁の濃度はドロッドロで、メスシリンダーの中でもなかなか粘土があり計測に時間がかかるほどです。
サラサラな水分はレンジで蒸発してしまったのか?とても濃厚な汁です。レンジでチンして水分を飛ばすと濃度は上がる…ありそうですね。
糖度は7.7でした。生搾りよりは高いですが、ドロドロの割に糖度は高くありませんでした。
しかし、口に入れた時の甘さは、これが一番舌にまとわりついて甘く感じました。
④冷凍して電子レンジで60度まで加熱して絞る
最後は1日冷凍にしたミニトマトを、電子レンジで60度まで加熱して絞ってみます。
冷凍時点での重さは15.91でした。
レンジで加熱しましたが、採れたての生ミニトマトのように爆発はしませんでした。
おそらく、すでに細胞壁が冷凍で壊れている為だと思われます。
単純に電子レンジで加熱しただけで、3.9mlもの出汁が出ました!冷凍すると、調理時間が短縮出来るというのが理解できます。
残りの実を絞ると、8.8mlになりました。絞り加減もするする絞り器のネジが回せ、一番簡単に絞れました。
15.91gで8.8mlなので、55%の水分が絞れたことになります!細胞壁はもうボロボロ?!
糖度も8.3と、大きさの割には高い数字が出ています。これも、細胞壁が効率的にぶっ壊せた証なのでしょうか?
細胞壁の破壊方法【まとめ】
今回行った結果を表にしてみると
「細胞壁をぶっ壊す方法」 | 重さ(g) | 水分(ml) | 絞り率(%) | 糖度(%) |
生搾り | 15.14 | 6.1 | 40 | 7.3 |
1日冷凍 | 13.87 | 7.2 | 52 | 8.8 |
レンジで加熱(60度) | 15.59 | 6.5 | 41 | 7.7 |
1日冷凍+レンジで加熱(60度) | 15.91 | 8.8 | 55 | 8.3 |
上記の実験から、植物の細胞壁を効率的に破壊して栄養成分を取り出すには、冷凍+レンジで加熱が1番良さそうであるという結論に至りました。
2番目の「1日冷凍する」でも52%も水分が絞れる為、こちらもオススメです。
ただし、収穫してたてのミニトマトをレンジで60度まで加熱すると、糖度や水分量は3番目で生食とさほど変わらないのですが、ドロリとした食感は一番甘さを感じました。
もちろん糖度はミニトマトの大きさに左右されますが、同じくらいの大きさでも冷凍やレンジで加熱する事で若干上がるようにも見えます。
今回の実験で、収穫したての新鮮野菜の糖度や絞れる水分量が一番少ないという事がわかりました。
いかに効率良く植物の細胞壁を壊して、中の栄養成分を摂取するかの参考になれば幸いです。
ニンジンやピーマン、ブロッコリーなどの緑黄色野菜の抗酸化作用であるβカロテンも細胞壁に守られているため、同様の方法を使うと効率的に栄養素を摂取できそうです。
植物の栄養成分を効率よく取り出す方法【まとめ】
なにより、メスシリンダーはもう2度と使うことが無いだろう事に感銘を受けました(笑)
小学生の息子に「これで実験をして世界の食料問題を解決してくれぃ」とプレゼントでもしようかな。
この記事では、植物から効率よく栄養素を取り出す為に、細胞壁のぶっ壊し方を実験、ご紹介致しました。
新鮮な生野菜を、あえて1度冷凍してから加熱する方が調理時間の短縮にもなり、さらに栄養成分が摂取しやすくなるようです。
収穫したての新鮮な野菜をすぐに冷凍する事で、保存も効いて栄養価も高くなるなら一石二鳥。やらない理由が見つかりません。
ぜひ、日常の調理にお役立て下さい。
ミニトマトの取り出した栄養成分「リコピン」の効率の良い吸収の方法の記事もございますので、併せてお読みいただくとアンチエイジングに役立ちます!
みらどり 「トマトが赤くなると医者が青くなる」とはイタリアに伝わる格言だそうです。トマトに含まれる健康成分はとても多いのですが、中でも注目されているリコピンを効率よく摂取する方法をご紹介致します。 ちきちき トマトが体に良い事[…]
ちなみにこの記事の糖度は👇のポケット糖度計 PAL-1にて計測したものです。
超お高ぁ〜〜いの\(*°∀°*)/