基礎知識
クーラーボックスの保冷力の違いを検証する前に、釣り用でもレジャー・キャンプ用でも選ぶ際の基本的な事をおさえておきたいと思います。
一般的に各社の公表している「保冷性能値」で選ぶしかありませんが、それだとメーカー毎のざっくりとした相対評価を示す目安にしかなりません。
保冷力を消費者が比較するのに、世界統一規格は無いので各社言いたい放題なのがクーラーボックスの現状です。
各社が検証した外気温や、クーラーボックスの大きさ、保冷剤の種類・容量に対する量、表面積等の違いで保冷性能にかなり差が出るからです。
選ぶ基準
ただ、必ずしも保冷力の高い高価なクーラーボックスが必要になるわけでもありませんね。
お昼に冷やすべき食材が無くなってしまうなら、保冷力は低くても軽くて持ち運びやすいクーラーボックスの方が使い勝手が良いのですから。
また、アイスなどの冷凍食品を溶かさず運搬するには、それなりの保冷剤と断熱性能の高いクーラーボックスが必要になります。
ただし、どんな用途に使うにしてもホームセンターなどで販売している安すぎるクーラーボックスは避けるべきだと思います。
後述する「買ってはイケないクーラーボックス」がコレにあたるのですが、到底断熱しているとは思えない程の庫内温度が上昇しているデータが取れましたので注意が必要です。
保冷性能を表す規格
日本ではJIS規格(日本工業規格)で定められた保冷性能の目安は、「JIS S 2048:2006 携帯用クーラーボックス」という項目で定められております。
保冷を目的として断熱機能をもつ、魚釣りなどのレジャー用及び冷蔵品などの運搬用として使用する容量35L以下のプラスチック製携帯用クーラーボックスについて規定。
引用元:日本規格協会グループHPより
ただし、この規格を製品に公示するかどうかは各社の判断に任せれており、各社独自の測定方法で保冷性能を表示しているのが現状です。
よって、消費者がクーラーボックスを選ぶ際の明確な基準はわからないのが現実です。
特にアウトドアブランドの海外製品との比較は、使ってみなければわかりません。
いや、実際は購入した人が保冷検証など行わないので、使ってみても分からないのではないでしょうか?
ダイワのKEEP値
釣具業界では、グローブライド(ダイワ)さんがJIS簡便法を用いて測定し、その氷の残存率から「残存率0%」になるまでの時間を予測し「KEEP値」として表示しています。
「外気40℃に調整された恒温室内に、クーラーボックス本体容量の25%に相当する角氷を入れたクーラーボックスを放置。8時間後に氷の重量を測定して氷の残存率を算出する」
【KEEP換算】
その氷の残存率から、残存率0%になるまでの時間を計算して「KEEP○○」という値で表示しています。
KEEP値は一度もクーラーボックスを開けずに、8時間後の氷の残存量からその後の残存量を予測しているので実際使用する場合はもっと短くなると考えられます。
JIS簡便法なので、間違ってはいませんがクーラーボックスの保冷時間を選ぶ際には注意が必要です。
シマノI−CE値
対するシマノさんは、独自の測定方法を使用した「I-CE値」で表しています。
その内容は以下のようなものです👇
クーラー内容量の20%の氷を31℃の温度下で1時間保持出来ることを1hと表し、たとえば「I-CE 70h」という表記なら70時間キープできる保冷力がある目安となります。
また、HPには記載がありませんが取説に記載されていたI-CE値の測定方法は、
I-CE値の検証方法
31℃の保温庫に放置し、容量に対して20%、-20℃で保存した氷を入れて8時間毎に蓋を開けて24時間まで計測。
24時間以降の数値は想定値です。
※蓋の開閉回数・氷の保持状態により値は変わります。
とあります。
微妙にJIS規格とは氷の量や外気温が異なりますが、検証中に2回クーラーボックスを開けて24時間後の氷の残存量から予測しているのでKEEP値の保冷時間より短く表示される事になります。
他のサイトにも、実際に保冷検証を行うとKEEP値とI-CE値が同じモデルの場合、
だと言われてます。
検証方法が異なるので消費者にはとても分かり難いのですが、どちらも氷の残存率が0%になるまでの時間である事が読み取れます。
冷蔵庫と同じ10℃以下にキープ出来る時間…を知りたい場合、「みらどり」の実測値から概ねI−CE値の40%程度が目安になると考えています。
クーラーボックスの断熱材
断熱素材 | 熱伝導率(W/m・K) | 密度(g/cm3) |
---|---|---|
真空パネル | 0.002〜0.008 | |
発泡ポリウレタン | 0.020〜0.030 | 0.025〜0.035 |
発泡ポリスチレン | 0.034〜0.040 | 0.020〜0.030 |
空気 | 0.025(20℃) | 0.001205(20℃) |
水 | 0.6(20℃) | 0.998(20℃) |
クーラーボックスの性能を決める一番重要なファクターである断熱材。
単純に断熱素材の性能差と、その断熱材の厚さで保冷力が決まります。
アウトドア用に輸入されいる海外製の高価な一流ブランドクーラーでも、断熱材が格下の場合は当然保冷力は劣ります。
ただし、極厚にする事で保冷力を補っているので素材はウレタンでも数字の上ではとても優れたクーラーボックスもあるようです。
しかし、後述するよう「ウレタン」は経年劣化して痩せていくので注意が必要です。
一般的な熱伝導率からそれぞれの断熱材を比べてみましょう。
熱伝導率比較
各物質ごとに、どれだけ熱を伝えやすいかという表です。
つまり、数字が小さいほど断熱性能に優れる素材となります。
良く言われている、水は空気の20倍以上熱を伝え易い…という事がこの表からも分かりますね。
断熱材に使用するのは、熱伝導率の低い空気をいかに効率的に閉じ込める壁を作るか…にかかっています。
3種類の断熱材
一般的にクーラーボックスで使われている断熱材のポリスチレンフォーム(発泡スチロール)や、発泡ウレタンフォームなどは空気を閉じ込めた気室(セル)により断熱するのです。
さらに桁違いの熱伝導率の低さを実現する「真空断熱材」を合わせた3種類の断熱材が使われています。
表題のグラフから、真空断熱材の桁違いの断熱性能が見て取れると思います。
海外製のブランドクーラーに使用されているウレタンフォームで真空と同じ断熱性能を得るには、10倍厚くするしかありません。
保冷力の高い、キャンプ用ブランドクーラーの外寸が大きい理由が頷けますね。
各種断熱材の特徴
お魚屋さんで良く目にする発泡スチロール製の断熱材や、家の断熱材で使用されているポリウレタンフォーム、高性能冷蔵庫や魔法瓶で使われている真空断熱材の特徴は以下のようになります。
低コストの発泡スチロール製でも分厚くすれば保冷力は上がりますし、軽さが必要なら重い真空パネルは適しません。
用途毎に最適な断熱材がありますのでご参考になさって下さい。
発泡スチロール(ポリスチレンフォーム)
魚屋さんの発泡スチロールと、釣具屋さんの発泡クーラーは発泡倍率が異なります。
その為、丈夫で保冷力が高いモノはそれなりの価格になるのです。
クーラーボックスで使用されているのは、EPS Expanded Polystyrene (ビーズ法発泡スチロール)と言われ、経年劣化に比較的強い素材を使用しております。
断熱性能では後述の発泡ウレタンに劣りますが、しっかりと厚さを持たせたクーラーボックスなら長い期間お使いになっても大丈夫です。
後述する「買ってはイケないクーラーボックス」のように、壁面が薄いレジャー用クーラーを購入するなら見た目はアレでも発泡スチロールクーラーの方がよほど保冷力に優れています。
発泡ウレタン(ポリウレタンフォーム)
釣りで使われているビーズ法ポリスチレンフォーム(発泡スチロール)と比較して、約1.5倍断熱性能が高い発泡ウレタン。
一般的には家の断熱材として建築資材にも使われていますが、経年劣化でやせていくのが最大のデメリット。
後述の真空パネルの隙間を埋めるのに使われている押出発泡ポリスチレンフォームも、時間の経過と供に保冷力は落ちていきます。
価格は前述の発泡スチロールより高くなりますが、金額差の割には寿命があるので「一生モノの保冷力」と言っても過言ではない後述の真空パネルを選択するのも一つの手です。
アウトドアブランドの比較的高額なクーラーボックスは、このポリウレタンフォームを極厚で使用しておりますが、理論上劣化せず同じ厚さなら約10倍の保冷力のある真空パネル採用の釣り用クーラーボックスが最強と言われる所以です。
発泡ウレタン採用モデル
ちなみにキャンプ用で人気の各社クーラーボックスには、高価なモノからお求めやすいモデルまで概ね発泡ウレタン断熱材が採用されています。
アウトドアブランドでとても人気のあるコールマン 54QTスチールベルトクーラーや、お高いYETI タンドラ 35などの断熱素材はウレタンフォーム(発泡ポリウレタン)。
とても高価なスノーピーク ハードロッククーラー 40QT、 人気急上昇中のORCA 26QTも断熱材はウレタンフォームと記載があります。
また、比較的お求めやすいイグルー マリンウルトラ 54QTの断熱材はウレタンフォームとあり、記載はありませんがロゴス LOGOS アクションクーラー50Lも価格から想像するに同様の断熱材が使用されていると思います。
断熱材の厚さや作りにこそ違いはあれど、価格の割にはコストの安いウレタンフォームを採用しているのがキャンプ用クーラーボックスの特徴です。
真空パネル
断熱性能では前述の2つを圧倒的に凌駕する真空パネル。
破損や穴あきが無ければ、理論上断熱性能が劣化しない「一生モノ」の断熱材です。
デメリットは、クーラーボックスが重くなる事。
底に真空パネルを1面使用したクーラーボックスや、U字状に3面使用したモデル、上蓋以外に真空パネルを採用した5面真空などがあります。
しかし、どうせ買うなら6面全てを真空パネルにした6面真空クーラーボックスを選択しましょう♬
パッキンこそ劣化しますが、消耗品の交換を定期的に行えば20年後でも保冷力を安定して維持する事が可能です!
シマノカスタマーセンター よくあるご質問
引用元:シマノカスタマーセンターHP ご回答より
Q:真空パネルの耐用年数は何年間ですか。
A:真空パネルは、破損さえなければ、経年劣化はほぼございません。強い衝撃を与えると破れたり破損する可能性はございます。
またペットボトルを入れる際に、手が滑った程度の衝撃(※高い位置から落とせば別です)でしたら、こちらもほぼ問題ございません。安心してご使用ください。
真空クーラーのデメリットは逆転する?!
空の状態では他の断熱材より重くなる真空クーラー。
しかし保冷力が2倍あれば、保冷剤が半分ですむので重量が逆転する事があります♪
シマノのフィクセルで比較してみると、同じ時間保冷させるのに必要な氷・保冷剤の重さを考慮すると真空クーラーの方が自重が軽くなるのです!
また半分の保冷剤で済むという事は、実際に使えるクーラー容量も増えるのでクーラー室内を効率的に利用可能。
さらに、普段コンビニで板氷(約1.7L)を買っているならその分のコストも半分におさえる事ができます♪
フィクセル ベイシス300
(発泡ウレタンクーラー)
I−CE値 50時間
自重 5300g
20%の氷 6000g(I−CE値50時間の基準量)
総重量 11300g(氷3kgを足した自重)
空き容量 24L(保冷剤6Lを引いた容量)
フィクセル ウルトラプレミアム300
(6面極厚真空クーラー)
I-CE値 110時間
自重 7700g
10%の氷 3000g(保冷力が2倍なので半分でOK)
総重量 10700g(氷3kgを足した自重)
空き容量 27L(保冷剤3Lを引いた容量)
クーラーボックスは、
自重を考える場合、必要な保冷時間に見合った氷や保冷剤の量=重さを考慮してクーラーボックスを選びましょう♪
真空断熱材採用モデル
釣り用クーラーボックスでは、ダイワ・シマノさんから各種大きさ別に数種類が販売されています。
6面真空モデルだと割高になってしまいますが、おすすめはシマノフィクセルウルトラプレミアムや、色違いのシマノアイスボックスPROです。
極厚真空パネルを採用した、まさに最強の保冷力!
コレが買えれば最強の保冷力は手に入りますが、いかんせん予算オーバー…。
安価な6面真空クーラー「アイリスオーヤマ HUGEL(ヒューゲル)」
そこで見つけたオススメ6面真空が、アイリスオーヤマさんから2022年7月29日に発売された、お求めやすい価格の「HUGEL 真空断熱クーラーボックス VITC-20、VITC-40」。
釣り業界と違い、製造ロットが多くコストカットの恩恵か…6面真空なのにとても低価格なのが特徴です。
ただし、口コミにあるようメリット・デメリットはあります。
HUGEL VITC-20とシマノ スペーザプレミアム350のガチンコ勝負は衝撃の結末を迎える事に…詳しくはコラの記事をご参照下さい👇
みらどり クーラーボックスマニアの「みらどり」です♫検証の為に家電メーカー6面真空断熱モデルHUGEL VITC-20を購入し、自宅にあるクーラーボックスの総容量が200Lを超えました💦。停電や災害時にはさぞ役に立つ事でしょ[…]
本体カラーはアッシュホワイトとチャコールグレーがありますが、熱吸収率から考えて「アッシュホワイト」の方が保冷力は高くなります!
海外製の発泡ウレタンモデルをご検討しているなら、ぜひ一度コチラの商品をご確認下さい👇
高くても最強の保冷力を手に入れたければ…こちら👇
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断熱材の厚さ
同じ断熱性能なら、薄くする事が出来るのが真空断熱材のメリットです。
また同じ素材でも、密度が高い方が保冷力は高くなります(製法によって断熱性能は異なる)。
逆に、発泡スチロールでも厚さがあれば発泡ポリウレタンより断熱性能を高くする事が可能です。
断熱素材の違いと、厚さによってクーラーボックスの保冷力は決まります!
また、厚さだけでなく断熱材をどのくらいの面積使用しているか、パネルカバー率でも保冷力に差が出るので本当の保冷力を知るのは難しいですケドね。
保冷力比較
それでは実際に「みらどり」の手元にあるクーラーボックスで保冷力検証を行ってみます。
色々なサイトでクーラーボックスの保冷力検証を見かけますが、氷の残存率だけでは自分が必要とする保冷力(保冷持続力)はわからないと思います。
10日後に1かけらの氷が残っているからといって、庫内温度が10℃以下をキープしているわけではないからです。
またクーラーボックスの容量が異なるのに、同量の氷を入れて数時間後の氷の量を測っても正しい保冷力はわかりません。
基本的には異なる大きさのクーラーを比較する場合、極力クーラー容量に対して同じ割合の保冷剤となるように検証する必要があります。
もちろん「みらどり」も素人検証なので、検証データとしては不十分な点は多々ありますが、あくまで同条件で比較した場合の目安になれば幸いです♬
検証に使用した保冷剤はこちら👇
保冷力最弱VS保冷力最強クーラー対決
この日は最高気温33℃、最低気温26℃の猛暑日でした。
車内の温度推移は下のようなグラフとなります。
14時50分に最高温度46.2℃をマークし、その後じわじわと温度は下がり夜22時20分までの平均温度は36.2℃の車内にて保冷力を比較しました。
保冷力検証結果
保冷力の目安である冷蔵庫と同じ10度以下をキープ出来る時間を比較します。
庫内温度が10℃を超えた時点を比べると、なんと約5倍も差がつきました!
シマノのクーラーボックスのI-CE値は65時間とありますので、2倍の保冷剤を入れた場合27.5時間キープできるとすればI-CE値の約40%の時間10℃以下にキープ出来る事になります。
極厚真空パネル採用のフィクセルウルトラプレミアムのI-CE値は110時間なので、44時間は10℃以下をキープ(約2日間)できると思います。
同様に、真空パネルを採用していない発泡ウレタン断熱材採用「ベイシス」のI-CE値は50時間。
クーラー容量の約20%の保冷剤を入れたとしたら、約20時間10℃以下をキープ可能な保冷力となります。
アウトドアブランドの発泡ウレタンモデルとは壁の厚さが異なりますが、6面真空とは概ねこの程度の差になる事がわかりました。
6月25日6時17分からスタート
最小温度5.9℃
10℃到達 2時間49分
保冷剤を2倍にしても 5時間38分
16時間04分後までの平均庫内温度は16.7℃
シマノ真空6面35Lクーラーボックス
6月25日6時17分からスタート
最小温度ー0.3℃
10℃到達 13時間45分
保冷剤を2倍にした場合 約27時間30分
16時間08分後までの平均庫内温度は6.5℃
クーラーボックスの種類 | 保冷剤の量(%) | 外気温ave.(℃) | 最低温度(℃) | 保冷時間(h) |
---|---|---|---|---|
レジャー用35L(炎天下の車内) | 9.2 | 36.2 | 5.9 | 2.8 |
真空6面パネル35L(炎天下の車内) | 9.2 | 36.2 | -0.3 | 13.7 |
真夏に保冷力を長時間キープしたければ、真空6面タイプを選ぶしかなさそうです♬
樹脂真空VSステン真空クーラー対決
どちらも-5℃保冷剤ネオアイス1250gを1枚入れた比較テストです(クーラー容量の約10%(ダイワ)、と約9%(下野)の保冷剤です)。
この日は最高気温30℃、最低気温26℃の夏日。
車内の温度は、下のようなグラフで推移しました。
12時18分に最高温度43.2℃をマークし、その後じわじわと温度は下がり翌日の8時34分までの平均温度は29.7℃の車内にて保冷力を比較しました。
保冷力検証結果
ダイワ5面真空クーラーの数字が悪いのは、劣化したパッキンのせいなので気にしないで下さい(その後パッキン補修して保冷力40%UPしました)。
注目すべきは、ステン真空断熱の下野鮎真空クーラー14Lの保冷力です!
鮎用クーラーボックスなので、丸形で容量は少なくアウトドアで使うには小さすぎます。
しかし、樹脂製の真空断熱材とステン真空断熱材の保冷力の違いもハッキリと数字に表れました。
シマノの真空断熱パネルは、大量のグラスウールを真空で圧縮したタイプ。
シマノアイスボックスPRO(極厚真空6面モデル)を真っ二つに切った画像。真空パネルを切ると、大量のグラスウールが膨らんでこんな事になるようです!
一方ステン真空は魔法瓶と同じ「ステンレス製真空二重構造」で究極の断熱材です。
真空断熱と言っても、違いがあるようですね。
ステン真空の下野鮎クーラーは、保冷剤の量を2倍にすると樹脂製クーラー最強のシマノフィクセルウルトラプレミアム(約44時間)より保冷力が高くなると予測がつきます(約50時間)。
6月20日6時10分からスタート
最小温度6.8℃
10℃到達 4時間35分
保冷剤の量を2倍にすると 9時間10分
26時間20分後までの平均庫内温度は14.2℃
ダイワ5面真空クーラーボックス12L(パッキン補修後)
7月18日5時33分からスタート
最小温度3.6℃
10℃到達 6時間26分
保冷剤の量を2倍にすると 18時間20分
10℃到達までの平均庫内温度は7.3℃
下野真空クーラーボックス14L
6月20日6時14分からスタート
最小温度1.5℃
10℃到達 26時間16分
保冷剤の量を2倍にすると 52時間32分
26時間20分後までの平均庫内温度は5.5℃
クーラーボックスの種類 | 保冷剤の量(%) | 外気温ave.(℃) | 最低温度(℃) | 保冷時間(h) |
---|---|---|---|---|
ダイワ5面真空12L (パッキン補修前) | 10.0 | 29.7 | 6.8 | 4.5 |
ダイワ5面真空12L (パッキン補修後) | 10.0 | 32.1 | 3.6 | 6.4 |
下野真空クーラー14L | 9.0 | 29.7 | 1.5 | 26.2 |
アイリスオーヤマhugel(ヒューゲル)検証
最後に追加で購入した、家電メーカー発のコスパ最強6面真空クーラーボックス、ヒューゲル20L単体での検証です。
保冷剤の量や外気温ave.などが異なるので、正確な比較は出来ませんが保冷力を比較する目安にはなると思います。
検証当日の車の車内温度の推移はこちら👇
保冷力検証結果
7月27日5時47分からスタート
最小温度1.6℃
10℃到達 20時間49分
保冷剤の量を2倍(20%)にすると 41時間38分
21時間03分後までの平均庫内温度は6.8℃
驚きの保冷力データが取れました…💦。
実売でわずか2万円のクーラーボックスが、約2倍もするシマノ6面真空クーラーボックスに勝ってしまいました!
保冷剤の種類や量(計測日時が異なる比較)、外気温などが異なるので一概に正確なデータというわけではありませんが…それを差し引いても驚きの結果。
公表しようか迷いましたが、あくまで素人検証のデータです。
…という事で、一応追記しておきます。
検証データまとめ
クーラーボックスの種類 | 保冷剤の量(%) | 外気温ave.(℃) | 最低温度(℃) | 保冷時間(h) |
---|---|---|---|---|
レジャー用35L | 9.2 | 36.2 | 5.9 | 2.8 |
シマノスペーザプレミアム 真空6面パネル35L | 9.2 | 36.2 | -0.3 | 13.7 |
ダイワ5面真空12L (パッキン補修前) | 10.0 | 29.7 | 6.8 | 4.5 |
ダイワ5面真空12L (パッキン補修後) | 10.0 | 32.1 | 3.6 | 6.4 |
アイリスオーヤマ HUGEL VITC-20L | 10.0 | 34.9 | 1.6 | 20.7 |
下野真空クーラー14L | 9.0 | 29.7 | 1.5 | 26.2 |
シマノ アブソリュート ULTRAプレミアム32L | 10.9 | 31.2 | -5.9 | 46.1 |
保冷力に優れたクーラーボックスを見極める上で、採用された断熱パネルで概ね検討がつきます。
樹脂極厚真空6面>ステン真空>樹脂真空6面>真空〜5面>極厚発泡ウレタン>発泡ウレタン>発泡スチロール>ぺらぺら発泡スチロールの安価なレジャークーラー
最後のレジャークーラーは悪意を感じますが笑…それほど断熱という点では使い物にならないクーラーボックスだと考えて間違いありません。
買ってはイケないクーラーボックスの代名詞と言えるでしょう。
釣り用とキャンプ用の違い
以上の検証結果をふまえた上で、釣り用とキャンプ用の違いをみていきます。
基本的にアウトドアブランドは、ブランディングコストが高いので同じプライスラインなら保冷力は若干劣ります。
また安価なレジャー用クーラーボックスは、低コストの断熱材を申し訳程度に使用し、厚さも薄いので保冷力は最弱になります。
性能だけを考えたら、同価格帯なら釣り用クーラーの方が断然保冷力は高く、コスパに優れていると言えるのです。
高さの違い
ただしアウトドア用として考えた場合、釣り用クーラーボックスは高さが無いので2Lのペットボトルやワインボトルが縦に入らないなどのデメリットもあります。
クーラーボックスの背が高いと、クーラー内部の高低で保冷ムラが出来る事が高さを抑える理由ですが、使いにくい事に変わり有りませんね。
最初に行ったレジャー用クーラーボックスの庫内温度は、上部と下部で大きく温度が異なります。
どんなに断熱性能の高いクーラーボックスでも、冷たい空気は重く下に溜まり上部との温度差は生じてしまう為、保冷剤は上部に設置するのが正解となります。
温度の違い検証
保冷力最弱のレジャークーラーの高さの違いによる温度を測定しました。
2Lのペットボトルを立てて収納可能ですが、クーラー上部の庫内温度は想像以上に下がりません。
気密性の悪さも露呈した事になりますが、冷たい空気は下に溜まる…のは間違いないようです。
検証結果
クーラー下部の温度計は最小7.6℃まで下がった後、4時間後に10℃に到達しました。
平均温度は9.9℃と、室内での検証なのでレジャー用クーラーでもそこそこの結果ですね。
上部に置いた温度計は最小20℃までしか下がらず、下部の温度計が10℃に到達するまでの間20℃をキープしています。
わずか25cmの高さの違いで、約10℃の温度差が生じました。
保冷剤を下に置いた状態での検証の為、驚くほどの温度差が発生しています。
この検証結果から、保冷材はクーラーボックスの上部に設置するのが良い事もわかりました。
色の違い
また、釣り用クーラーは性能優先だから本体カラーは白一択(光の反射率が高いので熱吸収率が低く熱がこもらない為)。
小学生の理科の実験で虫眼鏡で太陽の光を集光した際、白い紙だと煙は出ないけれど、黒く塗り潰した紙だと煙(場合によっては発火)が出るように、白より黒に近い色の方が蓄熱します。
まるで白物家電を彷彿とさせる日常感溢れる為、
などのビジュアル面でデメリットが生じる事もあります笑。
ただし、タープやテントのような日陰にクーラーボックスを設置するなら、色の違いは保冷力に影響しないので問題ありません。
買ってはイケないクーラーボックスの特徴
以上の事から、買ってはイケないクーラーボックスはホームセンターに売っているような、
の三拍子揃ったモデルです!
断熱性能の低い発泡ポリスチレンを極薄に使用し、プラスチックでカバーしただけのクーラーボックス…。
中の断熱材はペラペラで、容量の割には軽さと見た目は小さくなりますが保冷力という点では、
と言える程度…。
夏場にこそ違いが明確になる
また、秋〜春先はそれほど保冷力の違いがわかり難いのですが、一番クーラーボックスを必要とする「夏」は保冷力の差が明確に表れます!
外気温が上がれば上がるほど、断熱パネルの性能差が如実に庫内温度上昇という形で表れてくるのです。
普段はなかなか目に見えないクーラーボックス内の温度ですが、
と楽観視するのは早計です。
クーラーボックスを選ぶ際には、ぜひとも「価格・重さ・厚さ」をご確認下さいませ♬
保冷剤が無ければただの箱
ただし、どんなに高価で保冷力に優れたクーラーボックスでも、保冷剤を入れなければただの箱。
クーラー容量20%の氷で保冷力を検証している事が多いのですが、庫内を効率的に冷やすためには-5℃保冷剤が最適です。
クーラー容量に対する保冷剤の種類と量を適切に入れなければ、安価なレジャー用クーラーと同等の保冷力になる事もあるでしょう。
保冷剤検証はこちらの記事で行っておりますので、氷と保冷剤の違いなど疑問をお持ちの方はこちらの記事をご参照下さい👇
いのた ヾ(゚∀゚`o)ネェネェ!クーラーボックスを冷やすのに「おすすめの保冷剤」とか「最強の保冷剤」とかイロイロ紹介されてるけど、ぶっちゃけ氷と比較してそんなに違いがあるの? みらどり いい質問だね、いのたさん♪[…]
コスパ最強真空断熱クーラーボックス
何度も言いますが、釣り用クーラーボックスが最強なのは間違いありません!
しかし、お求めやすいレジャー用クーラーボックスでコスパ最強の保冷力を誇るのがコチラの2機種です♫
真空断熱パネルを6面採用しているので、経年劣化も気にせず末永くお使い頂けるNEWアイテム。
高価格の海外製極厚ウレタンと同等の保冷力だとすれば、お求めやすくてこの保冷力の高さは最大のメリットになりますよね。
HUGEL VITC-20
釣り用では標準装備の、ハンドル・ショルダーベルト・水抜き栓はありません。
しかし、水抜き栓が無いことで、真空断熱パネルのカバー率※が高いので保冷力は申し分ありません。
※水抜栓周りに断熱パネルを配置出来ないので、投入口や水抜き栓は保冷力という観点から言えばボトルネックとなります。
両手で持ち運ぶ必要があるので、社外のショルダーベルトなどで工夫する必要がありそうですね。
保冷力だけで言えば、釣り用クーラーボックスに負けない家電メーカー アイリスオーヤマの6面真空パネルクーラーボックスです!
HUGEL VITC-40
断熱パネルに高密度発泡ウレタンを採用した、お求めやすいHUGEL クーラーボックス TC-40もラインナップにありますが、型がVITC-40と同じなので断熱材の厚さが足りません。
グラスウール+アルミシートの真空断熱パネルを採用した、VITC-40がHUGELクーラーボックスの目玉だと考えます。
発泡ウレタンの経年劣化は避けられませんので、一生モノのクーラーボックスと考えればVITC-40は決して高い買い物では無いと思います♫
注意:真空パネル採用のVITC-40も、隙間はウレタンで充填されているので一生保冷力が落ちないというわけではございません。
保冷力の真実【まとめ】
ほぼ空気のようなかさばるクーラーボックスは、そのコストの大半が倉庫代とか運送費と言われていますので、海外モデルが高いのも頷けます。
逆にホームセンターなどで販売されている、安すぎるクーラーボックスにも注意が必要です。
今回の保冷力検証では、「みらどり」が所持しているクーラーボックスしか行っていませんが、おおよその見当はつくと思います。
クーラーボックスにデザイン性やブランド価値ではなく、純粋に保冷力を求めるならば自ずと選択の幅は狭まります。
選ぶ基準は、
です♬。
クーラーボックスの種類 | 保冷剤の量(%) | 外気温ave.(℃) | 最低温度(℃) | 保冷時間(h) |
---|---|---|---|---|
レジャー用35L | 9.2 | 36.2 | 5.9 | 2.8 |
シマノスペーザプレミアム 真空6面パネル35L | 9.2 | 36.2 | -0.3 | 13.7 |
ダイワ5面真空12L (パッキン補修前) | 10.0 | 29.7 | 6.8 | 4.5 |
ダイワ5面真空12L (パッキン補修後) | 10.0 | 32.1 | 3.6 | 6.4 |
アイリスオーヤマ HUGEL VITC-20L | 10.0 | 34.9 | 1.6 | 20.7 |
下野真空クーラー14L | 9.0 | 29.7 | 1.5 | 26.2 |
シマノ アブソリュート ULTRAプレミアム32L | 10.9 | 31.2 | -5.9 | 46.1 |
極厚真空パネル採用はシマノ・ダイワの釣り用クーラーボックスしかありませんが、レジャー用最強の「HUGEL 真空断熱クーラーボックス」は要チェックです!
最後までお付き合い頂きありがとうございました!
(:D)┓ペコリンチョ
追記:シマノの本気!レジャー用最強クーラーボックス「アブソリュートフリーズ」新発売
2023年1月に開催された、釣りフェスティバル2023にて新しいクーラーボックスが発表になりました!
発売は3月以降になるようですが、一足早く釣りフェスティバルで現物を確認し、シマノスタッフにあれこれ質問しました。
結論から言えば、総合釣具メーカーであるシマノさんが本気で作り込んだ世界最強のレジャー用クーラーボックスに仕上がっています♪。
詳しくはコチラの記事をご参照下さいませ👇
みらどり 2022年の春、総合釣具メーカーシマノさんがアウトドア・キャンプ用に発売した「アイスボックス」。既存の釣り用クーラーボックス「フィクセル」の色違いにもかかわらず、爆発的な人気商品となったのは記憶に新しいと思います。[…]
みらどり ついに買っちゃいました( -᷄ ᴗ -᷅ )フッ。世界最強と噂される、シマノ最強クーラーボックス「アブソリュートフリーズ ウルトラプレミアム」!(色違いのアウトドアモデル、VACILAND[ヴァシランド(最大氷保持時間31[…]