鮎友釣り水中糸
鮎の友釣りは実に多様な糸を使い分けています。
いかに小さな鮎を、川底で自然に泳がせるか…。
また、人間でも容易に流されてしまうような激流に遊泳力の弱い養殖鮎を沈めるか…。
はたまた、くるぶし程度の水深で自在にオトリ鮎を操るか…。
そんな様々なシチュエーションに合わせる為に、最先端の新素材を採用してきたのが鮎釣りです。
高価な素材を使用
なるべく水中糸の比重を上げる為、金の次に比重の重い高価なレアメタル「タングステン」を使用したりもします。
また、水中糸の抵抗を限りなくゼロに近づける為、金属より直線強力の高いスーパー繊維である液晶ポリマー「超高分子量ポリエチレン(PEライン)」や「ポリアリレート」「アラミド繊維」を早くから採用してきました。
今でもキンク(折れる)の危険があるが圧倒的な水切れ性能を好んで「超弾性形状記憶チタン合金」をお使いになる方もいらっしゃいますね。
そして、現在鮎水中糸の主流となりつつある「複合メタル」は、これらの弱点を見事に克服した扱いやすくて高強度のラインへと進化しています。
泳がせにはモノフィラメント
もちろん、古くから親しまれてきたナイロンやフロロカーボンの出番が無いわけではありません。
友頃の鮎(16〜18cm)を数釣るなら、チャラ瀬・浅瀬の泳がせ釣りが手返しも早く有利です。
そんな時は、適度なオバセ(糸のタルミ具合で鮎に刺激を与えて泳がせる)が重要になり、モノフィラメントの絶妙な抵抗がイキてきます♪
俗に言うクセのあるハイテク水中糸や、ナイロン・フロロに近い低比重の複合メタルだったとしても、オトリ鮎の泳ぐスピードが異なるので100点満点の泳がせは出来ません。
名人・達人クラスともなれば、どんな水中糸でも自在に鮎を操れるようになるのでしょうけれど、下手の横好き「みらどり」の腕では、水中糸を合わせて楽に鮎釣りを楽しんでいます♪
オトリ操作が雑でも、フロロ0.175号で泳がせれば気持良く登りますし、複合メタル0.04号ならオモリ・背バリを打たなくても普通の瀬なら難なく入ります。
まさに
ぜひあなたの釣り方にマッチした水中糸選びのご参考にして下さいませ♪
一般的なライン素材特性表
※この表は👉右にスライドします
ナイロン | フロロカーボン | ポリエステル | PEライン | ハイテクライン(ポリアリレート) | 金属単線(チタン) | 金属(ステン) | 金属(タングステン) | 複合メタル | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
比重 | 1.14 | 1.78 | 1.38 | 0.97 | 1.41 | 6.45 | 9.7 | 19 | 1.9〜14.9 |
給水性 | あり(4.5%)コーティングで防止 | ほぼなし(0.04%) | ややあり(0.4%) | なし(0) | ややあり(0.26) | なし | ないが錆びる | なし(サビに強い) | 複合素材に準じる |
耐摩耗性 | キズがつきやすい | 硬く縦の繊維でキズはつきにくい | 表面が硬くキズつきにくい | 極細繊維の集合体なので摩擦に極端に弱い | 弱い(PEより3倍程度強いが基本的に弱い) | 強い(金属の中では弱い) | 最強(素材による) | 強い(組糸なので金属の中では弱い) | フルメタル(ステンレスとタングステン複合は最強)液晶ポリマーと金属の複合はその割合による |
柔軟性 | 柔らかい | 硬くハリがある | フロロよりさらに硬い | しなやか | コシがある | カチカチ | カチカチだが撚り糸の為単線よりしなやか | 撚り糸の為単線よりしなやか |
金属が多い(比重が重い)と硬く、液晶ポリマーが多い(比重が小さい)としなやかとなる |
伸び率 | あり(約25〜30%程度) | あり(約20〜25%程度)初期伸び率は低い | 少ない(約20〜22%) | 極小(3〜5%程度) | PEより高感度(約0.8%) | 復元率100%の伸びがある | 極少 | ほぼ無い | ほぼ無い |
直線強力 | 初回は強い | 強い | ナイロンよりやや劣る | ナイロンの約2.5〜3倍 | 金属より強い(ナイロンの4倍程度) | ナイロンの約2倍(みらどり実測値) | ナイロンの約2倍 | ナイロンの約2倍程度 | ナイロンの約3倍(金属割合が多いほど若干弱くなる) |
結節強度 | 直線強力の約85%程度 | 直線強力の約70%程度 | ナイロンよりやや劣る | 直線強力の約40%(編み込みで約90%程度) | 弱いので基本編み込みが必要 | 結べないので編み込み | 直線強力の約60%(編み込みで約90%) | 弱い(編み込みで約90%) | 弱い(編み込みで約90%) |
屈折率 | 1.53 | 1.42(水の屈折率1.33と近い為水中で見えにくい) | 1.65 | 1.51 | 1.61 | ー | ー |
ー |
ー |
カール・キンク | なし | 熱で縮れる事がある | カールしても引っ張ると戻る | なし | しないが若干弱る | カールしないが簡単にキンク(折れる)する | カール・キンクするがコーティングで防止 | カールすると強度が落ちる | しにくいがコーティングの種類次第 |
紫外線劣化 | あり(コーティングで防止) | なし | 耐候性に優れる | なし | 耐候性に優れる | なし | なし | なし | なし(アラミド繊維との複合は若干する) |
おすすめライン | パワード鮎 水中糸 | シーガースーパーGM鮎 | エステル鮎 水中糸 | アーマード FH 鮎 水中糸 | 141ハイテク水中糸MONO | エクセラ鮎 スーパー | HIGH TENSION WIRE鮎 | ザイトメルファブレイドTGII | ZX複合メタル鮎 水中糸 エクセラ鮎 ハイブリッドメタマックス |
上記表は、9種類の素材ごとにその特性をまとめたものです。
同一の素材でも品質や製造方法の違いで微妙にデータが異なる事もありますのでご了承下さい。
これらの物理的データを元に、実釣でのメリット・デメリットなどをまとめてみようと思います。
モノフィラメントライン(単繊維)
多数の繊維が合わさって一本の糸となっているマルチフィラメントに対して、ナイロンやフロロカーボン、ポリエステルなどの単繊維からなる糸をモノフィラメントと呼びます。
一般的には、細い繊維を合わせると摩擦に弱くなる傾向がありますが単繊維であるモノフィラメントは比較的根ズレには強くなります。
1mあたりの単価も安く、鮎釣り以外でも広く釣り糸として流通していますね。
同号数での直線強力は、後述の液晶ポリマーや金属には敵いませんが、糸を結束するのに編み込みが必要ないので扱い易さはピカイチです♪
鮎用のモノフィラメントラインの品質は価格相応に高いので、他の釣りジャンルの安価な糸で代用される方もいらっしゃいますがあまりおすすめ出来ません。
端的に言えば、原材料の価格と糸の均一性に差があるので、安心して鮎釣りを楽しむにはそれなりの価格の水中糸が必要になります。
ナイロン(ポリアミド・モノフィラメント)
THE鮎水中糸と言えばナイロンですね。
画像は0.3号ですが、素材特性上表面はツルツルでしなやかなのでライントラブルの心配はありません。
結束強度や扱い易さで言えば後述のフロロカーボンより上になります。
ただし、釣具業界における現状は一日を通して安定した強度が保てるフロロカーボンが主流になりました。
その原因の1つには、初期伸びがあり特に細糸では強度低下しやすい事(0.2号以下は午前と午後で水中糸を交換しないと不意の高切れの恐怖が拭えません)。
もちろん0.6号通しなど、太いナイロンなら強度低下の心配はいりませんが、大物とやり取りした後は手尻が数十センチ伸びるなどの弊害も起こります。
また、吸水性があり、紫外線劣化もそこそこするので耐久性という面でも他の水中糸より劣る事もデメリットの1つ。
もちろん、吸水性や耐光性に関しては各社コーティング技術で遅らせる努力をしていますが、素材特性を根本から変える事は出来ないので消耗品と考えた方が良さそうですね。
ナイロン水中糸の得意な釣り方
水中糸を1m以上沈めないナチュラルな泳がせと、初期伸びを利用した0.6号以上の太糸で荒瀬の釣りが得意です。
誰が結んでも80%以上の強度を安定して出せる仕掛け作りのしやすさと、ナイロンならではの野鮎を刺激する絶妙な泳がせが最大の武器!
ナイロンは消耗品…とだけ頭に入れておけば、不意のラインブレイクも防げるはずです。
ただし、安価が売りのナイロンラインですが、鮎で使われる高品質ナイロンは耐久性から考えてフロロカーボンよりコスパが悪い。
「みらどり」は10年以上前からナイロンラインは使わなくなりましたが、どうしてもナイロンにこだわるなら、釣行ごとに仕掛けを張り替える事を前提に、信頼の日本製ナイロン屋「サンライン」のパワード鮎水中糸がおすすめです。
フロロカーボン(ポリフッ化ビニリデンモノフィラメント)
モノフィラメントラインの中で、未だ現役で売れ続けているのがフロロカーボン水中糸です。
最大のメリットはナイロンより重い適度な比重と、吸水性や紫外線劣化を考えなくてよい耐久性。
また、原糸構造がナイロンより硬く縦の繊維だから耐摩耗性にも優れています。
同号数だとナイロンより強度は弱く(太く)なりますが、水の屈折率(1.33)に近い(フロロは1.42)事も釣れる理由の1つでしょう。
フロロカーボンのデメリット
デメリットと言えば…特に思い浮かびません笑。
完全にナイロン水中糸の需要を奪いとった感がありますが、絶対的な直線強力は後述の液晶ポリマーや金属には敵わない事がデメリットでしょうか?
素材自体の吸水性や紫外線劣化がほぼ無いので(0ではない)、未使用なら10年前のフロロカーボン水中糸でも問題無く使えるのが良がメリットですね…あっ、デメリットじゃない笑。
フロロカーボンが得意な釣り方
これはほぼナイロンと同じになります。完全な上位互換と言って良いでしょう♫
ナイロンより伸びが少ない分、手に伝わる感度も良いのでベタ竿の引き釣りもこなせる万能ライン。
「みらどり」は瀬釣りは複合、チャラ・トロ・泳がせはフロロカーボンというように、2本でほぼシーズン初期から終盤を乗り切ります。
大鮎釣りはやらないなので、ほぼナイロンの出番は無くなりました。
ちなみに、フロロカーボンラインで最強はクレハさんです。
フロロカーボンラインを自社原料を用いて製品開発を行うことができるのは世界でもクレハグループただ一社だけです。
詳しくはこちらの記事をご参照下さい👇
みらどり フロロカーボン最強ハリスはクレハ「シーガーグランドマックスシリーズ」である事は誰もが認める周知の事実だと思いますが、世の中には【最強】を謳うハリスは多々あります。ちなみに表題の【釣り人の9割が知らない】質問が最初に登場します。[…]
ポリエステル
え〜っと…(´>∀<`)ゝすみません!
「みらどり」はポリエステル水中糸を使った事がありません💦。
そもそも、鮎用のエステル水中糸が発売されている事も知りませんでした。
現状はサンラインさん1社しか扱いが無いようですが、アジングやトラウト釣りではその感度の良さから主流になりつつありますね。
もともと後述の液晶ポリマー、ポリアリレートの原材料であるポリエステル。
物理特性はそれに類似している点もありますが、強度面ではナイロン・フロロとほぼ同等です。
サンラインさんのHPからの引用でお茶を濁したいと思います笑。
特徴
引用元:サンライン公式HPより
●ナイロン・フロロに近い感覚で泳がせができ、メタルに近い感度を持つエステル素材を採用
●ナイロンとフロロの中間的な比重の1.38
●繊細な釣りから瀬まで対応できる高強力と耐摩耗性を持ち合わせています
●無吸水の特性ですので強度変化がありません
ナイロン、フロロカーボンよりも感度が高く、直進性に優れたエステルの水中糸が登場!!吸水性もないので、物性変化が起こり難い
発売から3年が経過し、他メーカーが追従してこないと言うことは…はい💦。
液晶ポリマー(LCP)
金属より直線強力の強いスーパー繊維である液晶ポリマー(LCP)系の鮎水中糸。
その特徴は、100%ポリアリレートならナイロンの4倍も強度がある…とフジノラインの公式HPに記載があります。
根ズレに弱いので鮎ではあまり主流になりませんでしたが、船釣りやソルトルアーフィッシングなど他ジャンルでは無くてはならないPEラインも液晶ポリマーの仲間の1つです。
主にナイロン系のアラミド繊維と、ポリエステル系のポリアリレート繊維、PEラインでお馴染みのポリエチレン系があります。
また、第3世代として史上最強のスーパー繊維、PBO繊維は「ザイロン」という名称で販売されています。
耐光性が弱点で、現在鮎釣りで使用されているのはポリアリレー卜が主流で、一部超高分子量ポリエチレン(PE)も使われています。
●ポリアリレート繊維(ポリエステル)複合メタルの現在の主流。鮎釣りにはコレが最適解と言える
●超高分子量ポリエチレン(ポリエチレン)PEラインで親しまれている。耐摩耗性に極端に弱い
●PBO繊維(ポリパラフェニレン・ベンゾビス・オキサゾール)史上最強のスーパー繊維だが耐光性が弱点
PEライン(超高分子量ポリエチレン)
上記2枚の写真は、数年前に安くて高強度と話題になったデュエルのアーマードFH鮎0.06号と、コーティング無しの純粋なPEライン0.4号です。
どちらもPEを原材料にしていますが、アーマードFHはPEにフロロ粒子をコーティングし、耐摩耗性を上げた商品。
鮎用の24m約2000円のFH鮎と、150m2000円程度で販売されているルアー用アーマード F+ Pro アジ・メバルの違いはコーティングだけだそうです。
鮎水中糸の価格破壊
実際「鮎の水中糸」として売れていたのは後述の価格破壊PEラインでしたね。
150mもあれば、まさに使い捨て…。
0.1号で最大直線強力は約2000g。
「従来PEラインに比べて、耐摩耗性2倍」でスレに対する耐久性が向上とあります。
PEラインは直径を容易に測れないので実際は太いとしても、耐摩耗性2倍は問題があります。
もともとの耐摩耗性が2なら、2倍でも4。石ズレに対する耐久性は使い物にならないレベルでした(みらどり調べで複合メタルは約20です)。
それでも、トロ場や中流域のような小石・砂利底なら直強力は申し分ありません。
石ズレの無いエリアでは安くて、強くて、悪くはないと思います。
テストライン | 号数(号) | 耐摩耗性(回) | 比重 |
---|---|---|---|
PEライン100% | 0.3 | 2 | 0.98 |
ポリアリレート100% | 0.1 | 6~8 | 1.41 |
タングステン100%組糸 | 0.05 | 13~18 | 19 |
ハイテンションワイヤー (ステンレスとタングステン組糸) | 0.07 | 90~98 | 9.7 |
エースSP複合 | 0.04 | 18~21 | 6.2 |
メタビート複合 | 0.04 | 22~27 | 12.4 |
メタゲーム複合 | 0.05 | 23~32 | 4.58 |
乱SP複合 | 0.05 | 20~44 | 9.3 |
PE水中糸の得意な釣り方
PEラインなので比重は0.98と軽く根ズレにも弱いので、ベタ竿の瀬釣りは得意ではありあません。
また、直線強力はナイロンの2.5倍ありますので、多少太くても(号数表記がデタラメでも)強い事にかわり無いのでそのあたりをどう使うか。
ただし、結束方法は編み込み(摩擦系ノット)が出来ないと40%程度しか出ません。
ナイロンの2.5倍でも、40%の強度ではほぼ同程度…。
根ズレと結束のわずらわしさがあるので、「みらどり」は使う機会が無くなりました。
それでも吸水性がゼロで、紫外線劣化もしませんからコスパ最強の水中糸と言えるでしょう。
ただし、くれぐれも大石ゴロゴロの上流域では使わない方が良いのでご注意下さい。
弱ったオトリが石裏で休もうと、石の隙間に潜り込んだ瞬間に根ズレでラインブレイク…という苦い思い出が蘇ります涙。
ハイテクライン(ポリアリレートの単線・組糸)
現在鮎釣りの主流である「複合メタル」の芯線に使われているポリアリレート100%水中糸です。
ポリエステルを原材料にしているので、物理特性は似ていますが直線強力は金属より強くナイロンの約4倍と表記があります。
実際は号数表記があいまい(太い)で、比重もフロロより小さく水切れもさほど良くありませんが直線強力だけは最強です!
ハイテクラインのデメリット
最大の欠点は耐摩耗性にあります。
PEラインよりは若干強いのですが、どのようなコーティングを施しても素材特性を凌駕するような劇的な耐摩耗性は得られません。
そのため、現在ではあまり使う人は少なくなったように感じますが、20年前は「ハイテクライン」として鮎釣り水中糸で活躍していた時代もありました。
この最大のデメリットを補うのが後述の金属との複合、つまり複合メタルの芯線としての利用です。
1本でも耐摩耗性の強いタングステンやステンレスをスパイラル状に巻き付ければ、劇的に根ズレに強くなるのです。
ただし、その耐摩耗性は当然金属の比率が多いほど高くなるのですが、ポリアリレートの割合が高い複合メタルは直線強力は高くなる反面、根ズレに対しては弱くなります。
ハイテクラインの得意な釣り方
正直、石周りの縄張り鮎を狙う鮎の友釣りにおいて、根ズレに弱い水中糸の出番はあまりありません。
前述のPEライン同様、トロ場や中流域のような小石・砂利底がメインフィールドとなります。
比重はナイロンとフロロの中間ですが、コシがあるので綺麗なオバセが出ないように感じます。
それでも直線強力は金属より高いので、根ズレさえ注意すれば荒瀬の大鮎とやり取りする事も可能です…。
ベタ竿で石に水中糸をガリガリと擦り付けるような攻めの釣りが好きな方には決しておすすめ出来ないラインですけど。
メタルライン系
文字通り金属を使用した水中糸です。
原糸そのままの金属の単線と、極細金属を撚り合わせたブレイド系に別れます。
前述のスーパー繊維である液晶ポリマーには直線強力では敵いませんが、金属ならではの耐摩耗性は他の追随を許しません。
唯一欠点があるとすれば、金属は折れる(キンク)という点に尽きます。
特に単線はゴミが付着してくるっと糸がまわっただけでポキポキ折れます。
知らぬ間に足にメタルラインが絡んで、クルッと回転した瞬間にポキ…。
無抵抗でキンクしまくります💦。
ブレイドはそこまでではありませんが、金属である以上キンク・パーマが無関係という事はありません。
1m300円のバリバススーパーメタルゴールド(12m約3700円)を、自宅で仕掛け作り中に
とやって4m無駄にした時は、夏の暑さだけではないなんとも言えない冷や汗が止まりませんでした💦。
金属単線(超弾性形状記憶チタン合金)
とにかく細くて水切れ抜群の金属の単線です。
金属なのに復元力100%でゴムのように伸びる「超弾性形状記憶チタン合金」で、キンクの恐怖さえ無ければ現在でもメインラインとして愛用していた事でしょう。
比重こそタングステンのように重くはありませんが、深瀬でコレの0.03号を使った時に、メタルなのに綺麗にオバセが出来ていたのを今でも忘れません♪
金属単線最大の弱点
最大の弱点はもちろんキンクですね。
キンクしない金属の単線が発売されたら、1m500円でも購入したいと思います!
それほど押しの強い瀬、深瀬、中流域の早瀬での釣りで抜群の水切れ性能を発揮してくれます。
キンクさえなければ耐久性(金属の中ではサビには弱い)も申し分ないので、単価は高くてもコスパは良くなると思います。
金属単線の得意な釣り方
単線ならではの水切れ性能と6.45という適度な比重を生かした瀬釣り全般がチタン単線の最適解。
水中糸を2m以上入れるような深瀬・深トロでの釣りも綺麗にオバセが効いて鮎が底を切らずに泳ぎます。
どんなに細くしても、フロロでは入らないような水深を得意とします。
また写真からも分かる通り、号数表記に近いホンモノの細さを実現しているので、直線強力はそれなりではあります。
後述の複合メタルと比較して、明らかに同号数だと細いとわかると思いますので良く見比べてみて下さい♪
金属ブレイド(超高強力ステンレス撚り糸)
耐摩耗性が最強のステンレスの水中糸。
素材の持つ耐摩耗性では、後述のタングステンの方が高いそうですが、1本1本の金属線の太さがステンレスの方が太い事が強さの理由だそうです。
ステンレスはタングステンほど細く加工し難い…とは、複合メタルのパイオニア「北越産業」さんとフィッシングショーでの会話で伺いました。
残念ながら「みらどり」は使った事がないのですが(荒瀬・大鮎は得意じゃない)、独自の耐摩耗テストではダントツの根ズレ耐性を発揮していました。
また、キンクしやすい金属も、撚ることでしなやかさと対キンク性能を発揮します。
キンクしない…わけではありませんが、太ければ折れにくいのは想像出来ますよね。
ベタ竿での荒瀬の引き釣りや、大石ゴロゴロの上流域で水中糸を擦り付けるような攻めの釣りが好きな方にはステンレスが最適です。
シマノさんでも鮎メタルライン ドラゴンフォースなる「男前なメタルライン」はステンレス100%ですね。
金属ブレイド(タングステン100%)
金の次に重いレアメタル比重19「タングステン」100%の金属ライン。
糸オモリと言えるほどの比重は、どんな押しの強い流れでもス〜っとオトリが沈みます!
また、フルメタルなので号数通りの標準直径である事もオトリが良く入る理由となります。
表題の写真をよ〜っく拡大して見ると、タングステンをブレイドしているのがわかると思います。
素材特性上はステンレス同様耐摩耗性が強いのですが、ステンレスより細い線の集まりなので必然的に根ズレに対して少し弱くなります。
指でシゴクと、くるくるっとカールするのもタングステンの特徴です。
たとえカールしても、オトリ1匹を回収できないくらいの強度劣化はおこりませんが、確実にダメージを受けていますので切り捨てる必要があります。
ただし、1回なら下記の方法で見た目だけ修正する事も可能です。
タングステン100%水中糸の裏技
ちなみに、タングステン100%水中糸だから出来るカールした時の修正方法をご存知でしょうか?
写真のように、糸を軽く張った状態でライターの炎(温度の低い根元部分)で「軽く炙る」と頑固なパーマが真っ直ぐストレートになります!
もちろんこれは現場での応急処置。
見た目は元通りでも、確実に炙った箇所の強度は落ちています(両端を引っ張ると、炙った箇所から破断します)。
また、炙る時に強く引っ張りすぎたり、長時間炙りすぎると焼け切れますのでご注意下さい。
タングステン100%水中糸の得意な釣り方
タングステンの比重を生かした釣り方は、太い流れの引き釣りとなります。
ベタ竿にすると、オモリや背バリが無くても驚くほどすんなりと鮎が底に向かって泳いでいきます♫
初めてタングステン100%の水中糸を使った時は、まるで自分が鮎釣りがもの凄くうまくなったかのような錯覚を覚えました笑。
逆に、泳がせは30点と言っていいので気をつけましょう。
つけ糸程度(30cm)の水深であっても、糸が重いためかうまく鮎が泳がない経験をされた事のある人は多いハズ。
また、液晶ポリマーほどの高強度では無いことに注意が必要ですが、ナイロンと比べれば2倍弱の強度はありあますので掛かり鮎の大きさで号数を選びましょう。
メタルラインの最適な結束方法
もちろんメタルラインである以上、通常の結束方法では強度が出ません。
編み込みのうまい下手で強度にバラツキが出てしまいますが、瞬間接着剤の効くパワージーニス 鮎 ハナカン繋ぎ糸で編み込めば90%程度の強度は確保可能です。
PEラインやナイロンで編み込む方もいらっしゃると思いますが、PEの特性上どうしても編み込み部分が滑ってしまうので10〜20%程度は弱くなってしまいます。
編み込みに瞬間接着剤を付ける、付けないで意見が分かれる所ですが、吸水性のあるナイロン以外の水中糸ならアロンでラインが劣化する事は考えられません。
それより、編み込み部分が数ミリでもズレた時に発生する熱の方が問題です。
複合メタルも含めて、メタルラインの強度を落としたくなければ、PEより摩擦係数が高く滑り難いポリアリレート系の編み込み糸が絶対です!
ちなみに「みらどり」は0.4号で全ての鮎メタルを結束しています。
以前、タングステン0.03号をパワージーニス 鮎 ハナカン繋ぎ糸の0.2号で編み込んだのですが、ポリアリレートでも紫外線劣化はゼロではないので、1シーズン使った仕掛が繋ぎ糸で破断してオトリを逃した事があります。
そこまで使うな…とは思いますが、強度劣化しても安心の0.4号一択になりました。
複合メタル(液晶ポリマーと金属の複合)
最後にご紹介するのが、前述の液晶ポリマーと金属ラインを複合させた「複合メタルライン」です。
直線強力は最強だが、耐摩耗性が弱点のポリアリレートを芯線に、周りをガードするように耐摩耗性の強い金属をスパイラルしてあります。
これによって、極細でも強くて根ズレに対して耐摩耗性もあり、しかもパーマ・キンクが起こりにくいのが複合ラインの特徴です。
また、液晶ポリマーと金属の種類や割合を変えることで、その特性も変化させる事が可能なので自分にあった複合メタルを選ぶ必要があります。
ステンレス✕タングステンのフルメタル複合、ポリアリレート✕タングステンの高比重複合、ポリアリレート✕ステンレスの耐摩耗性複合などその種類は複雑です。
過去にはアラミド繊維✕タングステンや、アラミド繊維✕ステンレス、PBO繊維✕タングステンなどの複合メタルも存在していました。
唯一注意すべき点は、ほとんどのメーカーの号数表記&参考強力がデタラメだという事実です…。
釣り人が複合メタルを選ぶ際、号数表記&参考強力があやふやなので実測強力から必要なラインを推測するしかありあません。
詳しくはこちらの記事でご確認下さい👇
みらどり どうもぉ〜♪釣り歴30年、鮎釣りは25年嗜んでいる「みらどり」で〜す!今回は現代鮎釣りの主流となった水中糸「複合メタルライン」についての裏話をしてみたいと思います。 わんだまん 出たな(*థ౪థ)得意の裏[…]
複合メタルの得意な釣り方
複合メタルの比重は1.9〜14.9まであり、複合と言ってもまるで別物、特性が全然異なります。
軽い比重は泳がせからライト瀬釣りまで。高比重の複合メタルはベタ竿の瀬釣りから荒瀬・大鮎が得意なシチュエーションとなります。
オールラウンドに1本でなんでもやろうと思ったら、比重4.0前後の複合メタルが釣りやすいど真ん中!。
ただし、低比重の複合メタルであってもフロロやナイロンの泳がせには敵わないので、理想はフロロ1本、比重4.0の複合メタル1本で釣りに行くのが最適です♫
複合メタルの種類は多すぎるので、前述の別記事にてまとめてありますのでそちらをご参照下さいませ♫
適糸適所の鮎水中糸の選び方【まとめ】
なにはともあれ、現在鮎釣り水中糸として販売されている中から素材・特性別に物理特性をご紹介致しました。
なにぶん数が多すぎるので、全てが必要な情報ではないと思います。
泳がせならフロロカーボン、引き釣りなら高比重の複合メタル。
オールラウンドな1本なら比重4.0前後の複合メタルが最適です。
適糸適所であなたに最適な鮎水中糸をお選び下さいませ♫
最後までお付き合い頂き、誠にありがとうございました!
(:D)┓ペコリンチョ
👉シーガースーパーGM鮎
●引き釣りメインなら高比重複合メタルがおすすめです
👉エクセラ鮎 ハイブリッドメタマックス
●オールラウンドに使うなら比重4.0前後の中比重複合メタルが最適です
👉ZX複合メタル鮎 水中糸
※この表は👉右にスライドします
ナイロン | フロロカーボン | ポリエステル | PEライン | ハイテクライン(ポリアリレート) | 金属単線(チタン) | 金属(ステン) | 金属(タングステン) | 複合メタル | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
比重 | 1.14 | 1.78 | 1.38 | 0.97 | 1.41 | 6.45 | 9.7 | 19 | 1.9〜14.9 |
給水性 | あり(4.5%)コーティングで防止 | ほぼなし(0.04%) | ややあり(0.4%) | なし(0) | ややあり(0.26) | なし | ないが錆びる | なし(サビに強い) | 複合素材に準じる |
耐摩耗性 | キズがつきやすい | 硬く縦の繊維でキズはつきにくい | 表面が硬くキズつきにくい | 極細繊維の集合体なので摩擦に極端に弱い | 弱い(PEより3倍程度強いが基本的に弱い) | 強い(金属の中では弱い) | 最強(素材による) | 強い(組糸なので金属の中では弱い) | フルメタル(ステンレスとタングステン複合は最強)液晶ポリマーと金属の複合はその割合による |
柔軟性 | 柔らかい | 硬くハリがある | フロロよりさらに硬い | しなやか | コシがある | カチカチ | カチカチだが撚り糸の為単線よりしなやか | 撚り糸の為単線よりしなやか |
金属が多い(比重が重い)と硬く、液晶ポリマーが多い(比重が小さい)としなやかとなる |
伸び率 | あり(約25〜30%程度) | あり(約20〜25%程度)初期伸び率は低い | 少ない(約20〜22%) | 極小(3〜5%程度) | PEより高感度(約0.8%) | 復元率100%の伸びがある | 極少 | ほぼ無い | ほぼ無い |
直線強力 | 初回は強い | 強い | ナイロンよりやや劣る | ナイロンの約2.5〜3倍 | 金属より強い(ナイロンの4倍程度) | ナイロンの約2倍(みらどり実測値) | ナイロンの約2倍 | ナイロンの約2倍程度 | ナイロンの約3倍(金属割合が多いほど若干弱くなる) |
結節強度 | 直線強力の約85%程度 | 直線強力の約70%程度 | ナイロンよりやや劣る | 直線強力の約40%(編み込みで約90%程度) | 弱いので基本編み込みが必要 | 結べないので編み込み | 直線強力の約60%(編み込みで約90%) | 弱い(編み込みで約90%) | 弱い(編み込みで約90%) |
屈折率 | 1.53 | 1.42(水の屈折率1.33と近い為水中で見えにくい) | 1.65 | 1.51 | 1.61 | ー | ー |
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カール・キンク | なし | 熱で縮れる事がある | カールしても引っ張ると戻る | なし | しないが若干弱る | カールしないが簡単にキンク(折れる)する | カール・キンクするがコーティングで防止 | カールすると強度が落ちる | しにくいがコーティングの種類次第 |
紫外線劣化 | あり(コーティングで防止) | なし | 耐候性に優れる | なし | 耐候性に優れる | なし | なし | なし | なし(アラミド繊維との複合は若干する) |
おすすめライン | パワード鮎 水中糸 | シーガースーパーGM鮎 | エステル鮎 水中糸 | アーマード FH 鮎 水中糸 | 141ハイテク水中糸MONO | エクセラ鮎 スーパー | HIGH TENSION WIRE鮎 | ザイトメルファブレイドTGII | ZX複合メタル鮎 水中糸 エクセラ鮎 ハイブリッドメタマックス |
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